生理不順

生理不順

生理不順とは

生理不順は、経血量の減少等の周期、生理期間、経血量が乱れた状態、広い意味で無月経も含まれます。初潮後数年間、または更年期の時期に見られる事が多いです。

生理不順の症状としては、のぼせ、腰痛、下腹部痛、不眠症などの精神神経症状を伴う場合もあります。原因は、卵巣機能の異常や血管運動系、ストレス等が考えられ、複雑に原因がある事もあります。

成長期に生じた生理不順は、成長ともに治癒することも多いですが、治癒しない場合は治療が必要となります。また更年期に生じた場合は、数ヶ月続くことが多いです。

西洋医学の治療

西洋医学の治療は、ホルモン剤が中心となります。ホルモン剤には副作用もしばしば見られます。
生理不順をホルモン剤を使用せず治療できれば好ましいことです。

漢方治療

生理不順は漢方の得意分野の一つです。
漢方薬の効果は、比較的早く現れることが多いです。また1年以内に改善、治癒する場合が多いです。
漢方では、東洋医学的原因を陽の瘀血、陰の血虚に大きく分け、それぞれの漢方薬を用います。

生理周期の仕組み

1回の生理周期を解説します。低温期、排卵期、高温期のホルモンの働きを説明します。

  1. 始めは、視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモンGnRHが分泌されます。
  2. 低温期開始。GnRHの刺激を受けた脳下垂体から卵胞刺激ホルモンFSHが分泌され、低温期となります。
  3. FSHが卵巣を刺激し、いくつかの原始卵胞が成熟して成熟卵胞になります。
  4. 成熟卵胞によって卵胞ホルモンのエストロゲンが分泌されます。
  5. エストロゲンの働きによって、子宮内膜が増殖し厚くなります。
  6. エストロゲンが一定量分泌されると、2番のFSHに代わって黄体化ホルモンのLHが脳下垂体から分泌されます。
  7. 排卵期には、LHの働きで、成熟卵胞が破裂し中から卵子が飛び出し卵巣の外へ。排卵が起こります。
  8. 卵子が飛び出した後の卵胞は黄体となり、黄体ホルモンのプロゲステロンが分泌されます。
  9. 高温期。プロゲステロンの働きにより子宮内膜が分泌層に変化し、受精卵が着床しやすい状態になります。高温期を形成します。妊娠への準備が完了します。
  10. 妊娠が成立しなかった場合、黄体はしぼんでプロゲステロンが分泌されなくなります。それを受け子宮内膜は剥がれ落ち、血液と共に体外へ。月経となり生理周期が終わります。

生理不順と女性の身体

子宮は筋肉です。その子宮に機能を持たせるのが卵巣です。

子宮

子宮全体が厚い筋肉によって形成され、内側にはスプーン1杯分程の小さな隙間があいています。子宮の筋肉の内側を内膜、外側を子宮外膜といいます。

  1. 生理周期により、内膜はホルモンの影響を受け厚くなり、排卵直前には3、4ミリに、着床する頃には9、10ミリにまで肥厚します。
  2. 妊娠しなければ、内膜は剥がれ落ち膣から体外に捨てられます。これが月経です。この時の血液の量はコップに半分弱ほどと言われています。
    子宮は膣によって外界とつながっています。

卵巣

卵巣は左右に1対あり、長径が約3、4センチほどのやや平たい楕円形をしています。成熟卵を排卵する役目と、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2つの合成と分泌を行ないます。これにより生理周期が生まれます。

妊娠週数の計算方法

生理周期28日では、排卵を月経開始から14日目と仮定します。最終月経の始まりを妊娠0週0日の起点と考えます。

  1. 排卵は14日目ですので、妊娠2週目、14日
  2. 次の生理予定が、4週目、28日
  3. 出産予定は、40週目、280日となります。

仮に周期40日と仮定した場合、生理不順の方は

生理周期が分ると、出産予定まで計算できます。
一般的に高温期は2週間14日間、前後2日間です。排卵を妊娠2週目14日と考えます。

  1. 低温期が長くなっていますので、排卵は、周期40日。高温期14日間は最終月経の始まりから26日目となります。
  2. 最終月経の始まりから26日目が、2週目14日となります。
  3. 出産予定は、最終月経の始まりから26日目の2週目14日に、38週266日を加えると出産予定40週目280日となります。

漢方医学から見る生理不順と基礎体温表

基礎体温表は、卵胞ホルモンやプロラクチン、黄体ホルモン等の結果を現しています。ホルモン同士のバランスや最終的な状態を表現しているといえます。
漢方薬と基礎体温表の意外な関係、東洋医学からみた関係を説明します。東洋医学の証、治療法の判断には、基礎体温表も重要です。漢方の証を判断する事が出来ます。
ただ基礎体温表だけで漢方の証を判断しているわけではありません。問診から分る体質、普段の生活状況、糸練功などから総合的に判断し、漢方薬を提案していきます。

基礎体温表と漢方薬の関係

  1. 基礎体温表が全体的に高い
    瘀血証の方が多いです。
  2. 基礎体温体表が全体的に低い。低温期に36.2度を切っている
    血虚、脾虚証の方が多いです。人参剤や白朮散の適応です。
  3. 基礎体温表で低温期の実証
    排卵までの期間が長く、生理周期が長い。瘀血証の桂枝茯苓丸証などの方が多いです。
  4. 低温期の虚証
    六君子湯証が多いです。
  5. 高温期の実証
    高温期が長い。瘀血証の桂枝茯苓丸証、桃核承気湯証などの方が多いです。
  6. 高温期の虚証
    高温期が短い、途中で基礎体温が下がる場合など。黄体機能不全の可能性があるとされます。漢方でみると血虚証の当帰芍薬散証、人参当芍散などの方が多いです。
  7. 基礎体温表で排卵から高温期までの駆け上がりが悪い
    脾虚、血虚などの方が多いようです。プロラクチンの異常や当帰散証にも見られます。
  8. 基礎体温表の高温期、低温期が二相に分かれていない
    無排卵の可能性があります。高温期を形成していない場合が多いです。
  9. 高温期が長い
    高温期が3週間以上続く時は、妊娠や流産の可能性の他、内科的な病気があることもあります。病院で検査されることをお勧めします。

漢方薬を選択するのに基礎体温表の変化は役にたちます。基礎体温表だけで選べる漢方薬もある位です。例えば白朮散等です。
基礎体温表をつける事がストレスと感じる場合もあります。無理につける必要はありませんが、有ると様々な情報を得ることができます。