高血圧の相談を受けた。「かけ橋」掲載分
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会社を経営する男性の手掌汗と高血圧症
(昭和8年生、男性。No.102)
今から20年程前、会社を経営する男性から手掌汗の相談を受けた。
五臓六府の「肝」を治療する漢方薬を1年間服用の後、手掌汗は改善された。それから7年後、高血圧の相談を受けた。最高血圧130、最低血圧が高く90の状態。
高血圧症に「脾虚の胃内停水が上衝し、目眩となったなった証」を確認した。この証は、経営者や管理職によく出現する体質である。ストレス性の高血圧で、最低血圧が高くなるのが特徴である。湯剤の代用として瘀血剤と人参剤をお出しした。
漢方薬服用から2ヵ月後、最高血圧130、最低血圧70となった。その後、飲酒により血圧が高くなったが、半年後には最高血圧120、最低血圧70となった。
治療開始から9ヵ月後には、合数が10合±となり治療を終えた。
更に5年後、再度血圧が上昇してきた。以前10合±まで改善された合数は2.5合2+まで下がっていた。
駆瘀血剤+人参粉剤での治療を再開した所、9ヵ月後には再び10合±(1)の状態まで改善された。
神経痛も出てきたので、そちらの治療も並行して進めた。とても調子の良い状態が続き、早く漢方治療を終えたいご様子だった。然し、再発の経験がある。
漢方薬では体質が改善されるが、日常の中で、病状の出る原因を取り除く事が出来ない場合、再発防止力をつける為にも時間を要する。
健康維持も兼ねて更に3年程、漢方薬を継続された。
高血圧症のご婦人
(昭和34年生、女性。No.2208)
患者さんは40歳のご婦人。最高血圧160、最低血圧90~100という事で、現在内科より処方された降圧剤を服用中。
「降圧剤を一生服用したくない」と漢方治療を希望し来局された。降圧剤を服用すると最高140~150、最低80~90位に下がるそうである。
身長159cm、体重60Kg。生理周期正常、便通は軟便で1日1~2回。舌診は微白苔、歯切痕あり。少陽病位で胃内停水を窺わせる。
脳血流の反応穴で調べると、左中焦1合Ⅳに神経症+強実証。自律神経の五志の憂・左中焦1合Ⅱに少陽病位の水毒証を確認する。
9月20日、気を巡らし上焦の熱を取る煎じ薬1日2回、散剤の変わりに代用のカプセル剤を1日1回投薬する。
11月4日、左中焦・血圧4合+(3)、五志の憂5合+(1)に改善。最高血圧130、最低血圧90~100。最高血圧は下がるが、最低血圧が下がらない。
糸練功にて脳血流を再チェックする。左上焦にストレス性の高血圧証4合+(3)を確認。初回相談時に見逃していた証だと思われる。患者さんに「血圧の原因がもう一つ有った」と説明。ストレス性の高血圧を改善する漢方薬を1日1回追加する。
翌4月14日、ストレス性の高血圧証8合+(1)、その他の証9合±(1)に改善。血圧も最高130、最低87に改善。
12月28日、全て10合±になり、最高血圧130、最低血圧75と安定し治療終了となった。
高血圧による頭痛と圧迫感を訴える女性
(1968年生、女性。No.7638)
7年ほど前に受けた人間ドッグで高血圧を指摘されて以来、降圧剤の服用を続けている女性から相談を受けた。
最高血圧170最低血圧90が、降圧剤服用により140/82まで下がっている。しかしこれ以上は下がる事がなく、常に頭痛や肩こり、首から上の圧迫感がある。また、朝方筋肉の麻痺の様な痺れも訴えられた。
医療気功である糸練功で確認した所、四逆散合黄解散証であった。
血圧を直接下げる働きのある黄解散に五志の憂(自律神経系のアンバランスやストレスの影響)を整える働きのある四逆散を合わせた。
朝方の麻痺は、病院での降圧剤(利尿薬)による、低カリウム血症を起こしている可能性があり、毎朝カリウムが簡単に摂れるリンゴジュースを飲む様に話した。
さらに食養生として、苦みのある物・アクのあるお野菜・緑茶等を摂り、薄味を心掛けて頂くよう話した。
1週間程度で麻痺はすぐに回復された。
3ヶ月程すると、頭痛や圧迫感が無くなってきたと嬉しいご報告。
6ヶ月が経った頃、血圧が120/70と下がり安定してきた。
西洋薬は降圧剤により一定の血圧を下げる働きはあるが、服用を中止するとまた血圧が上がってしまう。しかし漢方薬は、血圧を直接下げる対処療法だけでなく、血圧が上昇した原因治療を行うことにより再発を防ぐ事が出来る。