2023年3月10日。写真は、青森県、奥入瀬谿谷で見つけた天然の山伏茸、侯頭菌です。凄い。
三陰三陽
東洋医学では病気の進行具合を判断し、その病位と言う時期ごとの治療法が確立されています。病位は脈証、熱型、熱のパターン、舌証、腹証、他で判断していきます。
古方派の病位は三陰三陽と言います。病の進行は、太陽病から少陽病、次は陽明病、太陰病、少陰病、最後は厥陰病、死へと進んで行きます。進行を止めなければ最後は死に至ります。
太陽陽明の合病
黄帝内経では。病の進行は、太陽病から陽明病から少陽病と進むと成っています。しかし実際の臨床では、少陽病から陽明病に病気は進みますが、陽明病から少陽病に病が進む事はありません。太陽陽明の合病から少陽病の病の進行は時に有りますが、合病であり純粋な陽明病とは症状もやや異なります。
実戦的な傷寒論
古方派の病位は、東洋医学の基礎医学、解剖学である黄帝内経と異なります。傷寒論を基本とした実際の臨床に基づいた実戦的な理論になります。
東洋医学は西洋医学と異なり難しい理論はありません。見方さえ変えれば小学生でも理解できる本能的な体感できる医学です。
脈診
病気の進行状態である病位、三陰三陽は、風邪を引いたり、下痢をしたりした時の急性病でも判断します。
また高血圧や肥満などの慢性病でも、健康な状態でも判断します。病気もしていない、症状も無い、普通の健康時の時でも病位が解ると、ご自分の体質的な状態が判断出来ます。病位が解ると、食事や生活で気を付けるべき事が判ってきます。
病位の判断には要素が幾つかあります。まず脈証です。親指側の手首に近い拍動部分に示、中、薬指の3本を当て診ます。左右3箇所を寸、関、尺と言い、計6か所を診ていきます。これが東洋医学の六臓腑に当たります。非常に難しいのでご紹介までに留めます。
- 実脈。強く圧しても消えない。反して、弱脈。強く圧すると消える。更に微脈。かすかに触れる
- 浮の脈。軽く触れても感じる。反して、沈の脈。強く圧すると感じる。更に、伏脈。強く圧してやっと感じる
- 弦脈。弓の弦に触れる感じ、つっぱった感じ。緊脈。弦に似て底が硬い。緩脈。緊の反対で緩んだ縄に触れる感じ
- 滑脈。滑らかで玉が転がる感じ。反して、濇脈。滑の反対、円滑に動かない、小刀で竹を削る感じ
- 大、洪の脈。幅が広い。細、小脈。大の反対で幅が狭い
- 数サク脈。頻脈で脈拍が90以上。遅脈。数の反対、脈拍が60以下
- 代脈。不整脈。結脈。期外収縮
- 芤脈。幅が広く外壁は硬く中は空虚
更に上記を組み合し、浮で数、弦で細、沈で緊など診ていきます。これに六臓六腑の臓腑を加味し診ていきます。沈、濇、大、遅などは瘀血の可能性があると考えられます。浮数は太陽病位です。浮数弱は桂枝湯証、浮数緊は麻黄湯証の適応となります。
脈診に変わる糸練功
脈診10年。10年しても覚えられないのが脈診です。私は30代の時に脈診を習い、結局修得できませんでした。その時、故入江正先生と出会いFTをお教えいただき、糸練功を確立しました。脈診を克服できなかった私には糸練功が大きな武器となりました。入江先生へ感謝です。
太陽病。悪寒発熱
三陰三陽の病位では、熱の形が決まっています。
- 太陽病では、悪寒発熱
- 少陽病では、往来寒熱
- 陽明病では、潮熱
- 太陰病では、手足煩熱
- 小陰病では、悪寒と四肢厥冷
- 厥陰病では、上熱下寒または極度の四肢厥冷
太陽病の悪寒発熱は、病が身体の内側に侵入していないため、体表での正気と言う免疫力、治癒力、抵抗力と病邪の闘いが繰り広げられます。免疫力を上げるために、身体は体温を上げようとします。そのため発熱します。初期に解熱剤を服用すると免疫力が上がり切らない可能性も出てきます。更に身体の表面積を少なくし体温を逃がさない様にします。そのため寒気がし身体を縮める態勢を取ります。
また毛に覆われていた祖先からの本能で鳥肌を立て、身体を暖かく保とうとします。それにより更に体温が上がり、免疫力が増します。これが悪寒発熱の状態です。太陽膀胱経の経絡に沿った凝りや痛みが生じます。
慢性病の太陽病
急性病では悪寒発熱が有りますが、慢性病では太陽膀胱経である首筋の凝りや肩こり、扁桃腺肥大や三叉神経痛などが現れます。太陽病は症状が激しいため、体質的に太陽病の方は少ないです。しかしアデノイド体質による扁桃肥大や副鼻腔炎が出やすい体質は太陽病の可能性が有ります。
食養生では体表を温める少し辛い物を摂ります。生姜や白ネギ、胡椒、シナモン、ワサビなど。
唐辛子は鼻で感じる香りが乏しく舌で辛いため、体表でも少し内側まで温めます。化膿を酷くしたり体質的に合わない人もいますのでお気を付けください。
病邪が身体の内側の消化器に入っていないため舌には変化がまだ表れていません。
辛味を蓄膿症への疑問
専門家の方は化膿である蓄膿症に辛い物は炎症を進めるから悪いと、間違った判断をしてしまいます。蓄膿症に使用する葛根湯加辛夷川芎の薬味中の辛夷はコブシの白い花の開花直前のつぼみです。蓄膿症の化膿専門で五色は肺の白い花、五味は肺の辛い生薬の辛夷だと言うことを思い出し下さい。
辛い食材もシナモン、生姜、和辛子、ニラ、玉ねぎ。辛さがそれぞれ異なります。それを使い分けるのが食養生です。「辛いから効能はコレ」初心者でもできます。
辛いの気味の厚薄で表裏の深さを調節するのが東洋医学、漢方の知恵です。