四季と食養生

漢方食養生

2020年8月21日

薬味の利用

お刺身を食べる時に必ず付ける薬味はワサビです。
ワサビの効能は、温中で冷たい刺身に対し身体を温める働き、発散、利尿、殺魚毒1955年化学的に判明の働き、消穀でワサビにはアミラーゼ活性化作用があり、胃もたれを取りますなどの働きがあります。

「秋ナスは嫁に食わすな」
茄子は身体を冷やします。夏場には冷やす害の影響は少ないです。
涼しくなった秋に、茄子を食べると身体が冷え妊娠しにくくなります。孫を早く見たいお姑さんの心使いです。
茄子は身体を冷やしますが、生姜や唐辛子、味噌は身体を温めます。
焼きナスに生姜醤油。ナス炒めに唐辛子で毒消し、中和が出来ます。味噌と茄子の相性も抜群です。

お蕎麦も身体を冷やします。
お蕎麦を食べる時は、身体を温める一味唐辛子や香辛料で毒消し、中和をします。

玄米には身体を冷やす働きと水を呼び浮腫みやすくする性質があります。
小豆は降の働きと身体を乾燥させる働きがあります。
そのため玄米食に小豆を入れると、水毒に対して毒消し、中和ができます。長期の玄米食はミネラル排泄でお勧め出来ませんが。

薬食同源

更に漢方薬と食材の組合せをすることも出来ます。薬食同源です。
例えば四物湯を骨付き、骨髓は腎に配当されます。鶏がらスープで服用したりします。

当帰芍薬散が合う人は、湿寒虚証で浮腫みやすく、冷え性、疲れやすいです。それに対しニンニクは身体から水を除き身体を温める燥、温です。

逆に牛乳は湿、寒で浮腫みやすく身体を冷やします。日本茶も身体を冷やします。当帰芍薬散が合う女性には、ニンニクが合い、牛乳や日本茶は控えます。

四気調神大論

東洋医学の古典、素問の四季調神大論を基礎に考えると

春は発散の七草粥から始まり、新芽類のタケノコ、葉野菜を摂ります。

夏は身体の熱を下げる苦、アクのある茄子やゴーヤ。浄化作用の緑の野菜のキュウリや緑でアクのあるホウレン草。降の働きがある実類のトマト等を摂ります。

秋冬

秋、冬は蔵の季節です。蔵の食材を摂ります。
イモ類ではサツマイモ、ジャガイモ、山芋など。イモ類は甘に属します。里芋だけ辛に属します。
種、豆類では大豆、小豆、胡麻、トウモロコシなど。
黄では蔵の働きの黄色のカボチャ、人参等です。アクが有りますが、必ず火を通します。火を通すと甘みが増します。

季節による注意

注意しないといけないのは、季節と臓腑経絡理論です。
例を挙げると、春は肝気が強くなります。
レバーを摂り過ぎると、肝が働き過ぎて熱が籠ります。

夏場には、身体を冷やすキュウリとワカメの酢の物などを食べます。
酢は温で身体を温めますので、キュウリとワカメによる冷やし過ぎを緩和します。
同時にワカメのアルカリ性のミネラル分を酢によって吸収しやすくします。

身体を冷やしたらいけない冬場は身体を温める生姜を加え、キュウリとワカメの酢の物に生姜のみじん切り等にするなどします。

夏の食養生

私が小さい頃、どこの家にも井戸が有りました。
地下水ですので水温は1年中一定です。冬は温かく、夏は冷たかったです。

夏は井戸水でサイダーを冷やしたり、スイカを冷やしたりしていました。
夏休みに友達の家に遊びに行くと、井戸からスイカを上げてくださり食べさせていただきました。
冷たくて美味しかったです。

喉の渇きに1杯のお茶

冷蔵庫が無かった時代。人間は井戸水より冷たい物を口にしてません。
私たちのDNAには、日常生活で井戸水より冷たい物を口にした経験、遺伝子は持っていません。
冷蔵庫で冷やした物をガブガブ飲むと、胃腸が冷たくなり胃腸の機能が低下します。

夏の暑い時に喉が渇き、「冷たい水を飲んでも飲んでも、喉の渇きが取れない」経験は誰でもあります。
水分は胃腸から吸収されます。冷たい水により胃腸の機能が更に低下し、水分吸収が逆に出来なくなります。

昔から「喉の渇きに1杯の熱い茶」と言われます。
また「冷たい水や牛乳は噛んで飲め」とも言われていました。
夏の喉の渇きには、胃腸を冷やさないよう1口づつ水分を取ります。

夏の喉の渇きの食養生

夏の冷えた胃腸には、胃腸を温める味噌料理や生姜、酢の物、ニラ、ニンニク等を多くします。

またバラ科の果物は、食養生では身体を温め温、身体を潤わす潤の働きがあります。
バラ科の果物の収穫は初夏から初秋が多いです。夏の果物です。
潤の働きで喉の渇きを取ります。同時に温の働きで胃腸を冷やしません。
サクランボ、リンゴ、桃、梅、梅酒、イチゴ、アンズ、スモモ、枇杷、プルーンなどです。

気温40度以上のタクラマカン砂漠で現地の人達と食べた孫悟空の桃、美味しかったです。バラ科の果物は潤ですので、脱水、熱中症を防ぎます。
バラ科の中で、梨は涼、潤で身体を少し冷やす傾向にあります。ただ身体を潤わす働きは強力です。

太陽光線と食養生

東洋医学の宇宙観では、土地、環境の大宇宙に合わせ、作物、植物の小宇宙が出来ると考えます。

漢方薬の黄柏や柴胡などは、日当たりの良い場所や斜面に自生します。

血毒と太陽光線

太陽光線をいっぱい浴びた漢方薬や野菜は、一般的に身体の血毒、表、浅に働きます。

逆に太陽光線の少ない日陰などで育つキノコ類は身体の水毒、裏、深に働きます。
発酵食品もこのグループです。代表的な生薬は茯苓、菌糸体、キノコ類です。

葉野菜は太陽光線をいっぱい貰っています。
血毒の原因は脂、油です。葉野菜を多く摂って身体を解毒し綺麗にします。

小腸の腑は免疫

東洋医学の臓腑の小腸は小。少しの月、身体の易、液、サミダレの意味です。
リンパ等の水分機能、免疫を指しています。
Bセル型のリンパ球はアレルギーや自己免疫疾患。
Tセル型のリンパ球は癌細胞やウイルスと戦ってくれる免疫細胞です。
日陰のキノコ類や菌糸体、発酵食品を多く摂り免疫力を上げていきます。