東洋医学の診断、証の決定法

東洋医学理論

2024年2月9日。写真は、広島県福山市、真言宗明王院です。

人間の身体に異常が生じると、様々な反応が出ます。
ツボも反応穴で診断にも治療にも使われます。
東洋医学で使われる六部定位脈診も手首の内側で全身を診る事が出来る反応点です。

今回はそれらの中で百会、五志、風毒をご紹介します。

百会診

人間の身体には十二臓腑に対する正経と奇経八脈が有ります。
私の師匠である故入江正先生は、奇経は12有るとの信念で、11奇経まで見つけていらっしゃいました。
他に十二経筋や十二経別なども治療に使います。

十二正経と奇経八脈

川の流れに例えると解りやすいです。
十二正経が縦の流れだとすると奇形八脈は横の流れです。正経と奇経は交差し水が流れて行きます。その為、病で正経に異常が出ると必ず奇経にも異常が出ます。

任脉と督脉

最終的に、身体の異常は奇経の任脉と督脉に必ずでます。
気功で最上級の技は、任脉と督脉を流す周天功です。
東洋医学では任脉と督脉を流すと、正経も流れ病が消失すると考えています。

百会はこの督脉上に有ります。

百会の場所

百会は頭頂部の少し窪んだ所です。百会の場所は、左右耳介の上部中央を結んだ線と鼻柱中央から後頭部の中心を結んだ線との交点となっています。
実際は交点より少し前にずらした箇所が反応が強いです。

脈診や手掌診との違い

脈診や手掌診は細かい反応も取る事が出来ます。反応の強弱で言うと患部が最も強いです。

それに比べ百会の反応はやや弱い感じがします。それだけに百会診で上がってくる反応は重要な証が多いとも推察されます。
生体に強く影響を与える身体の異常。病の勢いが強く、急激に悪化してくる病。生命に関わる病などです。患者さんの訴えは殆ど百会で反応が出ると考えられます。

五志の憂

五志とは精神と心を指します。
五志の憂とは、この精神と心の状態が強くなり過ぎたり、弱くなり過ぎた状態です。

東洋医学の病理

七情の内因無ければ六淫の外邪犯さず
七情とは、喜ぶ、怒り、憂い、思う、悲しむ、恐れる、驚くです。
六淫とは、風、寒、暑、湿、燥、火です。

東洋医学では、七情と言う心の内なる原因が無ければ、外邪に犯されず病気にならないと考えています。

黄帝内経素問、陰陽応象大論篇第五

人に五臓有り、五気を化して以って肝の怒り、心の喜び、脾の憂い、肺の悲しみ、腎の恐れを生ず。故に激しいストレス等の感情が強すぎると、気の働きが障害され内因となり、肉体的に強烈な刺激寒暑等の外邪が甚だしいと、肉体の機能が障害され病となる。過度の怒りは肝を傷り、過度の喜びは心を傷る。」

黄帝内経素問、宣明五気篇第二十三

五并と言って、五蔵がそれぞれの精気を内蔵する力が抜けると、その精気がいずれかの臓に集中するようになる。肝に集中すると憂え易く、心に集中すると喜び易く、脾に集中すると畏れ易く、肺に集中すると悲しみ易く、腎に集中すると恐れ易くなる
五并は黄帝内経霊枢、九針論篇第七十八にも同様の記述があります。

五志の憂の診断

診断箇所は、督脉上の額の髪の生え際になります。督脉の神庭より半寸ほど下側です。

該当する病では更年期障害、不眠症、うつ病、統合失調症、知覚神経障害、自律神経の異常、PMS、痴ほう症、発達障害、部分癲癇なども五志の憂に反応します。

五志の憂の診断の注意点

  1. 患者は顔面を床と垂直にします。センサーは床に平行に水平に入れます。
  2. 五志の憂の診断箇所の左右に小田顔面診の心の臓が有りますので、混乱しないようにします。
  3. 百会と額の中間程に五志の憂の診断箇所が、もう一か所あります。ここは床に直角にセンサーを入れます。
    2つの反応が同一になる確認が必要です。

風毒診

甲把南栄先生の腹診図は臨床において非常に使いやすい腹診図です。
私は主に風毒塊と東洋医学の病因である気虚塊、気塊、痰塊、血虚塊、血塊上焦、血塊中焦、血塊下焦を使用します。

風毒塊

この腹診図の中に、臍の右上部分に風毒塊があります。

このスパイラルは半時計回りです。南半球では時計回りになるそうです。地球の磁場との関係だと思われます。古式茶道の男水、女水との関係があるかもしれません。

風毒診では東洋医学の風邪を診ます。
西洋医学のウイルス感染とカンジタ菌、溶連菌の感染に反応します。

風毒の診断には幾つかの注意点があります

  1. スパイラルの中心点を書きます。
  2. スパイラスの先に矢印を書きます。
  3. このスパイラルは書いた本人には反応しません。
    理由は不明です。
  4. 甲把流の風毒塊で直接診る事もできます。