おせち料理の黒豆

2023年1月10日;(写真は、広島県福山市の草戸稲荷神社です。)

おせち料理

お正月が終わりました。皆様おせち料理をお食べになられたでしょうか。
おせち料理は節目であり新年を迎える1つの儀式でも有ります。
おせち料理には煮た黒豆が定番で入ります。

黒豆の生産量はアメリカが世界一だそうです。
江戸時代の末期に黒船で来航したペリーが黒豆を日本からアメリカに持ち帰りました。現在ではアメリカが黒豆生産世界一になったそうです。

黒豆も漢方薬

この黒豆を使用した漢方薬があります。黒豆甘草煎(クロマメカンゾウセン)と言う処方です。附子(ブシ)中毒に解毒として使用されます。

附子中毒に黒豆

漢方薬には修治(シュチ)という下ごしらえがあります。
附子の修治は猛毒のトリカブトの根を海水で処理し火に炮じ、毒性を減じ漢方薬の炮附子(ホウブシ)にします。

附子は神経痛などの痛みや新陳代謝が非常に落ちた時、心機能が低下した時などに少陰病(ショウインビョウ)位の特効薬として漢方では使われます。

煎じる時間で効果が変わる

附子は煎じる時間により効果に変化が生じます。
痛みに使用する時は50~60分煎じます。長く煎じる事により毒性が減じ痛みに効く成分アコニンサンの抽出量が増えます。
煎じる時間が長い程、熱をかける程、痛みに効く成分は分解しますが毒性も減じていきます。
痛みではなく、新陳代謝や心機能を上げる目的では1時間以上の時間をかけ煎じます。

黒豆の解毒作用

この附子の煎じ時間が短いと中毒を起こします。
また附子末を使った製剤もあります。金匱要略(キンキヨウリャク)を原典とする天雄散(テンユウサン)は勃起不全などに使われます。本来はトリカブトの枝根の無い天雄を使用します。しかし近代漢方では代用としてトリカブトの枝根の附子末を入れます。
ある大学の生薬学の教授が天雄散を飲みすぎ、中毒で亡くなったと言われています。

この附子の中毒の時に使われるのが黒豆甘草煎です。附子中毒を起こした時は黒豆甘草煎を煎じます。煎じ上がるまでの時間繋ぎに中毒者の口の中に味噌を入れます。麦味噌ではなく豆味噌です。その後、煎じあがった黒豆甘草煎を服用し解毒します。

このように黒豆には解毒作用があります。他に解熱作用、滋養補血作用などがあります。浮腫、脚気、筋肉の引きつり、化膿などに使用されます。

黒豆のモヤシも漢方薬、大豆黄巻

黒豆を発芽させ、もやしの様にした黒豆を漢方薬では大豆黄巻(ダイズオウケン)と言います。
大豆黄巻は金匱要略出典の薯蕷丸(ショヨガン)と言う漢方薬の構成薬味です。薯蕷とは山薬(サンヤク)・山芋の事です。
薯蕷丸を基本に開窮薬(カイキュウヤク)を組み合わせたのが脳卒中や麻痺、高血圧などに使用される牛黄清心元(ゴオウセイシンゲン)です。(開窮薬とは五臓の窮・穴を開き経絡の気の流れを良くします。同時に漢方薬の効果も良くなります)

薯蕷丸は食欲がなく体力の低下などの心身疲労に使われます。東洋医学では脾虚のタイプです。
脾の臓は肌肉(キニク)を主ると言います。筋肉組織も肌肉になります。
私は突然に斜視になった年配の男性を、眼球を動かす筋肉の異常と考え薯蕷丸で治したことがあります。

食養生の黒豆

黒豆は豆です。穀物ですので東洋医学では脾の臓に配当されます。
生の肉類や魚類、葉野菜は常温で置いていると腐れるか枯れてしまいます。穀物は常温で置いても腐れることはありません。
多くの民族が、このような腐れない穀物やイモ類、豆類などを主食としています。
東洋では米、南太平洋の島々ではイモ、アンデスではトウモロコシ、西洋では小麦などです。

昨年収穫した穀物を翌年に植えると新しい芽を吹きます。イモも土に埋めると新しい新芽を翌年に出します。このように次世代へDNAを繋ぐ食材を東洋医学では主食と考えます。
常温で腐れる食材は副食になります。

黒豆の五季

黄帝内経(コウテイダイケイ)の理論の五色(ゴシキ)では黄色の大豆は脾の臓に配当されます。黒豆は黒色ですので腎の臓に配当されます。腎の臓の五季(ゴキ)は冬です。
冬のお正月には黒豆が合います。
また黒豆で身体の解毒掃除をして新しい1年を過ごしていきます。