薬性の五気とは

阿蘇の高岳の天狗の舞台 漢方コラム

写真は、熊本県阿蘇の高岳の天狗の舞台です。

食品や薬味で気味と言う言葉があります。これは東洋医学の五気と五味から来ています。五味は酸っぱい、苦い、甘い、辛い、塩辛い鹹の五種類です。東洋医学では酸は肝の臓腑に働き、苦いは心の臓腑に働く、甘いは脾の臓腑へ、辛いは肺の臓腑へ、鹹は腎の臓腑へ働くと考えています。

五気とは

五味は東洋医学の臓腑へ影響する働きです。五気は熱、温、平、涼、寒の五種類です。五気は身体を温めるか冷やす働きになります。

根物は温め?実物は冷やす?

一般的に言われている根物は身体を温めるは例外が非常に多くあります。牛蒡は根物ですがアクがあり身体を冷やします。キンピラ牛蒡に唐辛子を入れ冷やす牛蒡の毒消しをします。柑橘類は酸っぱいです。酸っぱい物は身体を温めます。ミカンは実物ですが身体を温めます。同様に漢方薬でも根物の黄連は身体を冷やします。実物の大棗は身体を温めます。

細分化された漢方の五気

五気は更に細分化されて用います。大熱、熱、温、微温、平、涼、微寒、寒、大寒の9種類に分類されるのが一般的です。微涼など更に細かく分類されることもあります。大熱に分類されるのは附子や呉茱萸です。熱に分類されるのは山椒や乾姜。大寒は石膏、石膏は海水の成分です。寒は大黄、黄連、黄芩、黄柏、山梔子、知母、竜胆、柴胡などです。寒の漢方薬味の中で山梔子以外は根物になります。根物でも冷やします。

漢方処方内の薬味

柴胡桂枝乾姜湯には乾姜が入っています。そのため身体を温める働きが強いと考えられます。柴胡剤ですが通常の柴胡剤と異なる面があります。また石膏は陽明病の主薬です。身体を冷やしますが、腸ではなく血液を潤わし身体を冷やします。白朮や蒼朮など利水剤は温性の薬味が多いです。その利水剤のなかで沢瀉は微寒です。沢瀉の入っている猪苓湯や五苓散は清熱作用があり炎症を取ります。また呉茱萸は大熱、乾姜は熱、人参は温になりますので、人参剤で取れない冷えは乾姜剤、それでも取れない場合は呉茱萸剤、附子剤を検討します。