漢方医学の案内

東洋医学概念

漢方薬は東洋医学の一部

東洋医学は、漢方、鍼灸、導引。導引には按摩、整体、気功等があり、この3種の治療学で形成されています。

青海省で出土した5000年前の馬家窟文化時代の土器に、導引の図が描かれています。
2200年前の馬王堆3号墓から出土した医学書には11臓腑、五臓六腑が記されています。
現在、私達が使っている五臓六腑はこの時代の言葉です。

その後、心包の臓が発見され、その400年後の後漢時代に記された黄帝内経には12臓腑、六臓六腑が記され、現在の東洋医学が完成しています。

体表解剖学

漢方の診断は、体表に現れた状態を通し身体の中を診ていきます。顏色や体型、脈診や舌診、腹診などです。これを体表解剖学と言います。
これら四診を元に漢方では患者さんの体質病態を以下に分類します。

  1. 病因である気血水
  2. 病位である三陰三陽
  3. 上中下焦の三焦
  4. 臓腑経絡
  5. 表裏
  6. 虚実
  7. 寒熱
  8. 燥湿
  9. 収散
  10. 升降

表裏、虚実、寒熱、燥湿を病性と言い、収散、升降を病向と言います。
以上の分類に従い治療法を決めていきます。

古典に基づく東洋医学

漢方は

  • 解剖と生理、病理を記述した基礎医学である黄帝内経
  • 薬理学の本草学
  • 臨床医学の傷寒論、傷寒雑病論である金匱要略

で成り立っています。
太陽堂漢薬局は、間中喜雄先生の一番弟子である故入江正先生の教えに従い、臨床医学を継承しています。

形象薬理学

漢方の本草学では形象薬理学と言う独特の見方があります。

  • 例えば、固いイボは、固いイボ状の形をした薏苡仁で治します。
  • 赤茶のシミは、赤茶色をした山梔子で治します。
  • 黄疸は、黄色の黄連、黄芩、黄柏、黄耆で治します。
  • 同様に、塊を取る漢方薬は塊の生薬を使います。
  • 水毒の治療には水を流す蔓科や、紫外線が当たり難い所で育った菌糸体などを多用します。
  • 血毒は油脂が原因の場合が多く、紫外線が当たる所で育った脂溶性の生薬を使い解消します。

肝臓病ではレバーなどのアミノ酸を食養で勧めます。これを似臓補臓と言います。

原料生薬

太陽堂漢薬局の漢方薬は、東洋医学の鑑別に従い選別します。

  1. 目で五色や型を判断します。
    色で臓腑を判断します。鮮やかさで表裏の深さを診ます。
  2. 鼻で五気である精油成分を嗅ぎ分けます。
    気剤としての血毒、水毒の判断をします。
    表裏の深さを診ます。気である香りが強いほど表に作用します。
  3. 舌で五味を選別します。
    作用点の臓腑を診ます。味は酸、苦、甘、辛、鹹に分け五臓を判断します。
    味が強いほど裏に作用します。

そして漢方薬を製造します。

煎じ薬

煎じ薬とエキス剤は、ドリップコーヒーとインスタントコーヒーの違いに似ています。
煎じ薬を更に煎じ水分を飛ばし、最後に乳糖を加え急速冷凍しフリーズドライの漢方エキス剤を造るのが一般的です。

そのためエキス剤には気剤である精油成分が残りません。携帯等にも便利ですが、漢方本来の効果を求めるなら煎じ薬をお勧めします。