写真は、熊本県阿蘇のミヤマキリシマです。
東洋医学で言う熱は西洋医学で言う熱とは異なります。38度の熱が有れば西洋医学的には熱が有るとなります。その時に患者さんが寒いと訴えれば高熱が有っても東洋医学では寒となり熱とは考えません。傷寒論に「病、発熱悪寒有る者は陽に発する焉、熱なく悪寒する者は陰に発する焉」と述べられています。
寒熱とは
寒は陰証が支配的、熱は陽証が支配的です。
寒熱の判断
顔が赤い場合は熱性の場合が多いですが、顔が赤く無いから寒性とは言えません。また一般的に尿量が多いのは寒性、尿量が少ないのは熱性と言われますが、当てになりません。ただ尿色が透明な場合は寒性、尿色が濃いのは熱性です。ビール色の尿は黄疸時に出ますので気を付けないといけません。女性のオリモノは白く薄い場合は寒性、褐色で濃い場合は熱性です。目やにも熱性です。
決め手は、赤ら顔、尿色、オリモノ、目やにです。以下は寒熱の例外について書きます。
下痢では
下痢は寒性と言われますが一般的な話です。実は熱性の下痢は非常に多いです。漢方の証では、太陽陽明の合病の胃腸型感冒。胆汁や胆嚢に問題が有る場合の半夏瀉心湯などの瀉心湯証。心下の中焦の熱の黄芩湯証、クレオソートの正露丸が適する場合は黄芩湯証を呈することが多いです。
下痢だから寒性と決めつけず、下痢の時に肛門の灼熱感、便の臭いが強い、しぶり腹の裏急後重、粘液便などが有れば陽証の熱証です。
上衝下冷
身体は冷えないのに、手足だけが冷える人がいます。瘀血証の人です。桃核承気湯証、桂枝茯苓丸証、温経湯証、通導散証に多いです。下腹部に瘀血がある人は熱が上焦や頭に上がり赤ら顔になります。寒い冬に暖かい部屋に入ってくると両頬が赤くなる状態と同じです。上焦に熱が上がるため手足の末端が冷えます、熱証の裏返しで冷えていますので瀉剤や駆瘀血剤で身体の熱を取れば末端の冷えも解消します。
四肢厥逆
もう1つ手足が冷える原因があります。自律神経の交感神経の興奮により末証の血管が収縮します。その結果、血流が低下し手足が冷えてしまいます。緊張すると手足が冷たくなタイプです。発表会で自分の番が近づくと手足が冷える人です。漢方では四逆散証です。これも熱証です。枳実の入った四逆散で落ち着きます。
枳実や枳殻は夏の柑橘類です。青皮、橘皮、陳皮は冬の柑橘類です。夏の柑橘類はレモンの様に白い皮が厚いです。養生としても夏の柑橘類が合っていると考えられます。
虚熱、不眠
熱には虚熱と実熱があります。最初に書いたように東洋医学の熱は患者さんが熱い、火照ると感じる事が熱証になります。通常は陽証の実熱が多いですが、虚熱と言うのがあります。虚熱は太陰病位の特徴の熱になります。長く歩いて夜に足が火照るのは虚熱です。疲れたために感じる火照り、太陰病位の唇の荒れ、手足の火照りなどです。精神的な面でも虚したがために出る不眠症なども虚熱の一つになります。帰脾湯証などです。不眠症でも実熱と虚熱があると言うことです。