2024年2月20日。写真は、広島県福山市、真言宗明王院です。
入江先生の反応穴
故入江正先生は、幾つかの病ごとの反応穴を見つけられ私達にお教えくださいました。
- 1つは五志の憂の反応穴です。五志は精神神経症の判断に欠かせません。一部の痴ほう症にも反応します。
- 衝脈を使った不妊症の反応です。これは素問の上古天真論篇に基づく本来の東洋医学の診断法です。入江先生は不妊症に対して幾つかの論文を発表されていますので、興味のある方は見てみて下さい。
- 甲把南栄先生の腹診図からの風毒診です。風毒診では各種のウイルスとカンジタなどの真菌、溶連菌に反応します。
- 右迎香にてアレルギー性鼻炎、花粉症の診断です。鼻水が出ている患者さんがウイルスの風毒に反応が無く、右迎香に反応があれば花粉症、アレルギー性鼻炎と判断出来ます。花粉症、アレルギー性鼻炎の治療をしていきます。逆に右迎香に反応がなく、風毒塊に反応があれば風邪による鼻水と判断されます。風邪の治療をすれば鼻水は止まります。
- また生理痛の診断にお尻の大殿筋を鷲づかみにし、使われていたのを覚えています。
東洋医学は体表解剖学
蒙色と言う望診があります。蒙色は病ごとに、ある程度の出る場所が決まっています。蒙色はお灸で治療していきます。
例えば痔病は仙骨上部に蒙色が出ます。痔核、痔瘻、脱肛も仙骨上部に出ます。仙骨上部は痔疾患の反応穴として使えます。
病ごとに反応穴
30代の頃の私は反応穴を探すために多くの患者さんを診ていました。
咳の反応穴
娘が喘息だったことも理由の一つですが、最初は喘息の患者さんの全身を糸練功で診て行きました。1人の喘息の患者さんで幾つもの箇所に反応があります。次の患者さんも診て行きます。この患者さんにも幾つかの反応があります。次の患者さんも同様に反応の箇所を探します。
何人か診ると共通の反応がでる箇所が分かってきます。10人以上の喘息の患者さんを診ると背中の小腸経の天宗辺りに全員が反応があるのです。最初は喘息の反応かと思いましたが、気管支炎などでも天宗付近に反応があります。風邪で咳が出る時も天宗付近に反応がある事に気付きました。気管支拡張症も肺MAC症も間質性肺炎も天宗付近で反応します。
天宗付近は喘息ではなく、咳に反応しているのです。咳の反応穴を見つけ40年近く経ちますが、現在でも使用し有効な反応穴です。
不妊症の反応穴
入江先生は衝脈にて不妊症を診る事をお教えくださりました。私は不妊症の患者さんも何十人と調べ共通の反応を探しました。
不妊症の患者さんに共通の反応は三焦経の天髎です。ここの反応を取るのには少しコツが要ります。背中側から少し指先を倒し角度をつけないと反応が取れません。この反応は2人目不妊の原因となる高プロラクチン血症には反応しません。プロラクチンの反応は乳腺で直接に取った方が良いです。
私は衝脈の血海、不妊症の反応穴、乳腺、黄体ホルモンの反応穴、卵胞ホルモンの反応穴、ホルモン全般を見る帯脈穴。帯脈穴は帯脈では有りません。不妊症の患者さんでは、以上の6か所を必ず確認します。
妊娠時の反応穴
妊娠したかどうかの反応も身体に現れると考えました。妊娠した患者さんを数多く診ました。共通の反応が存在しました。
腋下から内側へ3寸ほど入った所です。妊娠している方は全員この場所に反応が出ます。随分経ってから、この場所の反応は瘀血の反応だと言うことに気付きました。胎児は東洋医学ではお母さまの身体に宿す瘀血になります。妊娠に限らず瘀血のある人は、この場所に反応が出ます。
様々な病ごとの反応穴
悪性リンパ腫や白血病、上皮性がん、浮腫、脳血流、夜尿症、糖尿病など様々な反応穴を見つけてきました。
アレルギーの反応穴
皮膚病は発赤腫脹の進行途中の段階では病変部で反応を診た方が確実です。しかし痂皮形成の段階になると、一貫堂の解毒症体質と同じ反応が出ます。
その為、皮膚病やアトピー性皮膚炎の反応穴を探したことがあります。有りました。胆経の曲鬢の上側です。頷厭の横当たりです。後に皮膚病やアトピー性皮膚炎の反応穴と思っていた箇所はアレルギーの反応穴だと言うことに気付きました。
反応穴の意味
腰痛やリウマチ、肝炎など病変部や愁訴部分がハッキリ分かるお病気は愁訴部分で反応を取った方が良いです。よりハッキリと信号が出ます。入江先生がお教えくださった愁訴診です。
ただ高血圧や糖尿病、高コレステロール血症など愁訴部分が分からない疾患も多いです。そのようなお病気では、反応穴が治療の大きな武器になります。
反応穴の共通点
人間の身体は陰面に小宇宙が出ます。六部定位脈診部も陰面、十二臓腑の腹診も陰面です。小田顔面の十二臓腑だけ督脉上の陽面に出ています。ただ顔面は限りなく陰面に近い陽面です。
反応穴は陰陽面
反応穴は殆ど陰陽面です。陰面と陽面の境に出ることが多いです。また2、3人に共通の反応が有っても反応穴と決めない事です。最低10人以上に共通の反応。出来るだけ30,40人と多くの患者さんで確認を取る方が良いです。