腹診と脈診と手掌診

鹿児島磯庭園じゃんぼ餅 漢方コラム

写真は、鹿児島県磯庭園前、薩摩の伝統じゃんぼ餅です。

脈診と手掌診

現代の東洋医学では六部定位脈診を行います。左右の前腕で寸関尺を診ます。東洋医学の独特の宇宙感、大宇宙の中に小宇宙あり。2000年前の人は脈診部も小宇宙と考え全身が診れると考えたのでしょう。

脈診部では寸が上焦、関が中焦、尺が下焦になります。右の寸が肺大腸、右の関が脾胃、右の尺が心包三焦。左の寸が心小腸、左の関が肝胆、左の尺が腎膀胱です。手掌診も六部定位脈診と上中下焦と配当される臓腑は全く同じです。

腹診

私どもが日常使う腹診は、私が30年以上前に糸練功で見つけた腹診を使用しています。故入江正先生から教わった腹診とも異なり、木下晴郎先生の腹診とも微妙に異なります。入江先生から教わった腹診とは、肝、胆、脾、心包、三焦が異なり、木下晴郎先生の腹診とは、心包、三焦が異なります。

糸練功で診ると私が見つけた腹診の方が臓腑が強く反応しています。誤診が少ない腹診だと思われます。入江FTやOTの出来る方は臓腑を病的状態にし診て確認してみて下さい。

私が見つけた腹診と脈診、手掌診の上中下焦

腹診図の集大成の腹証奇覧の正身名目及三焦分解図に鳩尾から上が上焦、鳩尾から臍までを中焦、臍から下を下焦と記してあります。

私が見つけた腹診は、右寸の上焦の肺、右関の中焦の脾胃、右尺の下焦の心包三焦と腹証奇覧の配置図通りに配当されています。左寸の上焦の心、左関の中焦の肝胆、左尺の下焦の腎膀胱も腹証奇覧の配置図通りで偶然に一致しています。

脈診部の左右のずれ

同じ上焦でも右寸の上焦の肺と左寸の上焦の心の位置がずれています。右寸の肺が上にあり左寸の心は下にあり同じ上焦でも微妙にずれています。臓腑の働きを考えても右寸の肺が表、左寸の心が裏になります。

中焦でも右の脾胃と左の肝胆では臓腑の働きを考えると、右の脾胃よりも左の肝胆の方が深くなります。下焦の右の心包三焦と左の腎膀胱では心包三焦より腎膀胱の方が働きが深いです。

配当される経別脈診部と臓腑は左右で深さが異なると推測されます。身体の右側が気毒水毒、左側が血毒と言われる事との関係があるかもしれません。東洋医学の経別脈診と臓腑理論、腹診など非常に興味深い現象が存在します。