婦人科各論、冷え性

漢方コラム
鞆の浦1

写真は、広島県福山市、鞆の浦、市営渡船です。

冷え性

冷え性は本人にしか分からない疾患です。先日、先輩が「僕は若いころから冷え性で手足が冷たい」と言われていました。この先輩は若い時から70代後半まで運動を欠かさずしてきています。筋肉もあり代謝も良いと思われ血虚ではありません。管理職を続けていらっしゃり東洋医学では四肢厥逆だと思われます。四肢厥逆は交感神経の興奮により末梢血管が収縮し血流が低下して血行が悪くなり、四肢の手足が冷えます。

冷え性の原因別薬方

  • 血虚、貧血の場合。当帰芍薬散、四物湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯など。当帰四逆加呉茱萸生姜湯証は腹痛があることがあります。
  • 陽の瘀血、血流障害の場合。温経湯、桂枝茯苓丸、桃核承気湯など。
  • 四肢厥逆、血流障害の場合。四逆散、抑肝散など。
  • 水毒の偏在、水毒が偏在している箇所の冷えの場合。苓姜朮甘湯加附子、呉茱萸湯、半夏白朮天麻湯など。苓姜朮甘湯証は多尿の場合があります。
  • 脾虚、新陳代謝低下の場合。附子湯、真武湯、人参湯、附子理中湯、和剤局方の人参養栄湯。人参養栄湯は出典で聖済総録や温疫論などもあります。ここでは和剤局方の人参養栄湯です。
  • 知覚神経障害に代表される五志の憂。
  • その他、五積散証もあります。

運用の注意点

  1. 白参末1、2gで冷え性が改善することもあります。
  2. 当帰芍薬散は血虚に対する方意の当帰川芎芍薬などと消化器や下焦の水滞を除く白朮茯苓沢瀉の方意です。血虚に対し白参が合います。また血虚と水毒に対しては大蒜が同じ方意です。
  3. 大蒜はニンニクです。生薬では葫と言います。神農本草経では「味辛く、温、毒あり。久しく食せば人を傷る。目明を損ず。」本草拾遺では「葫、大蒜は水を去り。風湿を除き、冷気を破り痃癖を爛し、しこりを柔らかくし、温補。毛髮をして白くせしむ。」崔禹錫食経には「魚の肉や鳥を合せて之を食えば快味となす」とあります。ニンニクは毒ありと言われます。次の日に体臭や口臭として残る成分にニンニクの毒があると考えています。太陽堂漢薬局では醤油漬けのニンニクをお勧めしています。長期に漬け込んだ醤油漬けのニンニクは食べても次の日には臭いはしません。
  4. 桂枝茯苓丸や駆瘀血剤を使うとき、瘀血の特徴である上衝下冷に対し少しばかりの発散剤を使うと効果が増します。
  5. 貧血の先祖返りは四物湯と四君子湯です。様々な薬方の効果が薄い場合、先祖返りも考えます。