写真は、熊本県阿蘇郡南阿蘇村、ファームランドです。
漢方の毒と副作用
漢方薬の副作用と新薬の副作用を同列に論じられません。例えば化学薬品の降圧剤を低血圧の人に投薬した場合、当然に血圧が下がりすぎます。これは副作用ではなく診断選薬のミスです。しかし漢方薬に対しては証の取り違えや漢方理論に基づかない選薬上のミスにより不具合が出た場合、漢方薬の副作用と言われる事が多いです。
宇宙観と原料生薬
伝統医学である漢方を、伝統にそぐわない原料生薬の偽物も日本では普通に流通しています。髭人參、髭柴胡、和厚朴、芎藭、非常に品質が悪い生薬が多いです。通常、漢方薬は漢方理論に基づき使用すれば正常化作用が基本作用となります。例えば柴胡桂枝乾姜湯を証に基づき糖尿病の人に投薬すれば血糖値が下がります。同じ柴胡桂枝乾姜湯を証に基づき肝炎患者に使用すれば肝機能は改善するが血糖値は下がらず低血糖も起こしません。これは東洋医学の独特の宇宙観があるからです。人体の陰陽バランスが取れた状態を太極とし健康と考えています。漢方薬も小宇宙であり、食物も小宇宙で陰陽のバランスが取れないといけません。現代薬理のような1方向の作用を考える発想は東洋医学にはありません。
経験医学
東洋医学は経験医学です。その理論は自然の動きをそのまま体系化した自然科学です。養生法も一緒です。いかに自然に合わすかです。漢方医学も同じです。漢方では毒と言う言葉があります。副作用とは意味が異なります。10~20年服用し食した時に身体がどう変化するかで毒を決めます。白米に限らず豚肉や烏賊でさえ毒ありと考えます。毒があるから効もあります。毒も無く効もない物は存在しません。だから組合せが必要であり組合せにより太極を作っていきます。その為の知恵が東洋医学です。
組合せ
寒熱である五気、五味、燥湿、収散、升降など、薬性と食性の働きであり物差しです。毒性の物差しであると共に効の物差しでもあります。毒は効なり効は毒なり。効を益すのは組合せ、毒を消すのも組合せです。常に組合せにて陰陽のバランスが取れた太極である小宇宙を作ります。薬方も食養も小宇宙を作る事が目的です。「この成分が入っているからこの作用があります」は狭義の話で東洋医学の発想にはありません。身体の状態、年齢、性別、季節、生活、土地、環境に合わし太極である小宇宙を作っていきます。
※専門家は神農本草経の下品の120種の漢方薬には注意が必要です。

