東洋医学の補瀉

佐賀県_バルーンフェスタ 漢方コラム

写真は、佐賀県バルーンフェスタです。

補瀉とは

現代漢方では虚実に対する治法が補瀉と勘違いされています。虚証に対する治法が補法、実証に対する治法が瀉法と間違って捉えられています。

黄帝内経

東洋医学の古典である黄帝内経素問、陰陽応象大論篇第五には「すなわち、病の陰陽、虚実、寒熱を審らかに診察し、補瀉を行うのであります」と述べられています。補瀉とは虚実だけでなく、陰陽、虚実、寒熱などを診て補瀉を決定します。虚実だけで補瀉を決めてはいけません。

虚実

虚証に対して痩せているから補法ではなく、正気の虚に対する治療法として補法を使います。実証に対してガッチリしてるから瀉法ではなく、病邪の実に対する治療法として瀉法を使います。

下痢は虚証で補法なの

下痢ぎみだから虚証と決められません。人参湯証や真武湯証、四逆湯証などは陰証で虚証になります。しかし胃腸型感冒に使われる葛根湯証、更に黄芩湯証、半夏瀉心湯証、甘草瀉心湯証、葛根黄連黄芩湯証などの瀉心湯類、五苓散証などは下痢でも陽証で実証になります。

補瀉に対する薬勢

漢方薬は働くスピードが其々異なります。峻補に配当される紫荷車、鹿茸。峻瀉に配当される麻黄、大黄、芒硝、竜胆、巴豆などは、服用後に直ぐに効果が出ます。直ぐに効果が出ない場合は証が異なるのか、薬量が不足なのか検討しなければなりません。竜胆瀉肝湯など気を付けないといけません。

巴豆

巴豆は峻瀉に配当されています。巴豆の種です。漢方では辛、熱、大毒です。漢方薬の通常の下剤は寒になりますが巴豆は熱剤です。

乙字湯を創られた原南陽が使った話があります。ある時、水戸藩主が急病になりました。原南陽は巴豆と杏仁で走馬湯を作り水戸藩主を嘔吐させ救ったそうです。その功績で水戸藩の侍医になったそうです。巴豆を用いる処方に他に紫円なども有名です。

太陽堂漢薬局での巴豆の展示説明

「寒積による便秘や腹痛、腹水など。また疾の多い肺疾患や肺水腫、癲癇、ジフテリア、脳卒中、食中毒等で用いられました。外用では排膿促進に用いられる。」巴豆の服用にて下痢をする場合は、冷たい水を飲むと改善します。