医療320

学会・研究会 国際学会での多数の発表。

太陽堂漢薬局が、東洋医学関係の学会・研究会にて発表報告した論文です。

太陽堂漢薬局の漢方学会・研究会での発表論文

2008年11月 伝統漢方研究会第5回全国大会 (日本・二日市温泉大丸別荘)

癲癇に対する漢方薬の効果

島田 敬一

太陽堂漢薬局

福岡県 福岡市・日本

[諸言]

癲癇とは、大脳の神経細胞の過剰な興奮によって発作を繰り返す病態の事を言い、現在わが国の患者数は60万人を超えると言われています。

発作の主な種類には、意識障害を伴うけいれんを起こす大発作、眠るように意識を失う小発作などがあり、発作を起こす原因は様々でテレビの画面から発せられる点滅する光などの軽度な刺激でも引き金になります。また発作は突然に起こる事が多く予測は難しいと考えられています。

西洋医学的な治療としては、抗癲癇薬による発作の予防・抑制が中心となり、作用機序は、神経細胞の興奮の抑制・興奮性神経伝達系の神経細胞(グルタミン酸ニューロン)の抑制・抑制性神経伝達系の神経細胞(GABAニューロン)の興奮、のいずれかになります。これによって発作抑制がみられるものは60~80%と言われていますが、この場合でも薬は飲み続けていかなければならず根本的な治療方法は見つかっておりません。

また現在、東洋医学的な主な治療方法としては甘麦大棗湯と五苓散が良く使われています。今回は大発作について述べていきます。

漢方古典3

【症例1】17才女性 身長158cm 体重46kg

主訴:癲癇の大発作

現病歴:2006年3月、初めての大発作を起こし来局。その1年10ヵ月後、2回目の大発作。

【治療経過】

2008.2

発作の症状 臓腑病 胆  陽証 9.9合 +(1) 柴胡桂枝湯加芍薬 Z

発作の症状 臓腑病 心  陽証 7.6合 +(2) 牛黄清心元 Z

発作の症状 臓腑病 腎  陰証 9.0合 +(1) ヴァイタルゲン

発作の症状 臓腑病 膀胱 陽証 9.3合 +(2) 五苓散 Z

発作の症状 臓腑病 大腸 陰証 8.1合 +(2) 甘麦大棗湯 Z

窮仙穴の反応 臓腑病 胆 陽証 0.7合 4+  Z五苓散合柴胡桂枝湯加芍薬

窮仙穴の反応として、五苓散合柴胡桂枝湯加芍薬証を確認。

五苓散合柴胡桂枝湯加芍薬、牛黄清心元、甘麦大棗湯、ヴァイタルゲンを服用。

その後、牛黄清心元は頓服としています。

2008.6

発作の症状 臓腑病 胆  陽証 9.9合 ±(1) D柴胡桂枝湯加芍薬 Z2

発作の症状 臓腑病 心  陽証 9.8合 ± B牛黄清心元 Z1

発作の症状 臓腑病 腎  陰証 10合 ± Cヴァイタルゲン Z1

発作の症状 臓腑病 膀胱 陽証 10合 ±(1) Z1五苓散

発作の症状 臓腑病 大腸 陰証 9.2合 +(2) A甘麦大棗湯 Z2

窮仙穴の反応 臓腑病 胆 陽証 8.8合 +(2) Z2五苓散加黄連合柴胡桂枝湯加芍薬

窮仙穴の反応としての証に黄連を加味する。

五苓散加黄連合柴胡桂枝湯加芍薬、甘麦大棗湯の2種のみ服用。

漢方薬も減り、現在は元気に学校に行っておられるとの事でご家族の方も喜んでおられています。

健康045

【症例2】30才男性 身長177cm 体重83kg

主訴:癲癇の大発作

現病歴:19歳の夏に発病。病院のお薬は飲みたくないと2005年7月初来局。 以来抗癲癇薬は飲んでいない。

【治療経過】

2008.2

発作の症状 臓腑病 胆  陽証 9.6合 +(1) D柴胡桂枝湯加芍薬 Z

発作の症状 臓腑病 心包 陽証 9.0合 +(3) B牛黄清心元 Z

発作の症状 臓腑病 腎  陰証 9.2合 +(1) Cヴァイタルゲン

発作の症状 臓腑病 大腸 陰証 9.5合 +(3) A甘麦大棗湯 Z

窮仙穴の反応 臓腑病 胆 陽証 0.1合 4+ Z柴胡桂枝湯加芍薬合五苓散

窮仙穴の反応として、柴胡桂枝湯加芍薬合五苓散証を確認 柴胡桂枝湯加芍薬合五苓散、牛黄清心元、ヴァイタルゲン、甘麦大棗湯を服用。

2008.6

発作の症状 臓腑病 胆  陽証 10合 ± D柴胡桂枝湯加芍薬 Z

発作の症状 臓腑病 心包 陽証 10合 ± B牛黄清心元 Z

発作の症状 臓腑病 腎  陰証 9.9合 ± Cヴァイタルゲン Z

発作の症状 臓腑病 大腸 陰証 9.9合 ± A甘麦大棗湯 Z

窮仙穴の反応 臓腑病 胆 陽証 6.6合 2+ Z柴胡桂枝湯加芍薬合五苓散加黄連

窮仙穴の反応の証に黄連を加味。現在は仕事を始めようかと検討中との事です。柴胡桂枝湯加芍薬合五苓散加黄連、牛黄清心元、ヴァイタルゲンの3種のみ服用。再発防止・体質改善にも期待ができます。

【結果・考察】

漢方イメージ2

現在、伝統漢方研究会では4つの反応点を発見しておりそれぞれに対して4つの処方で対応して症状の改善がみられていました。しかし、今回新たに発見された生体内環境の証を用いて標本治療を行えば本来必要であった処方の数も少なくなり患者さんの負担も軽減し、さらなる改善も期待できます。

また、五苓散に関しても現在言われている西洋医学的な利尿作用だけではなく腎証との関係が深い事から体内のミネラルを動かしてそれに伴い体内の水分が移動している作用もあると考えられます。

【今回使用した漢方薬】

柴胡桂枝湯(加芍薬)(柴胡5 半夏4 広南桂皮3 黄芩2 白人参2 芍薬2~6 乾生姜1 大棗2 甘草1.5)

五苓散(加黄連)(沢寫6 猪苓4.5 茯苓4.5 白朮4.5 黄連0.5~1.5)

甘麦大棗湯(甘草5 大棗6 小麦20)

牛黄清心元:日本製薬

ヴァイタルゲン:日本制がん研究所

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