生薬-桂皮

山梔子(サンシシ)Vol.1

生薬-山梔子

2016年11月

アカネ科 クチナシの成熟果実を乾燥させたもの

  • 山梔子は胆汁を分泌させ、黄疸を治します。
  • また、清熱作用が強いです。
  • 苦・寒の働きで利尿作用もあります。

適応

黄疸、肝炎高血圧症、出血、鎮静

応用

山梔子は、黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)、温清飲(ウンセイイン)、加味逍遙散(カミショウヨウサン)などの漢方薬に入ってます。

1996年11月 北陸大学薬学部・毛利哲郎教授のマウス実験で、「山梔子中のゲニピンにて痴呆症の回復」と発表がありました。

太陽堂漢薬局では応用として、痴呆症の予防や脳梗塞の後遺症パーキンソン病などの患者さんに山梔子を用います。

梔子には水梔子と山梔子があります。

  • 水梔子は通常のクチナシで「皮が多い長い果実」。山梔子は「皮が少なく果実が丸い」です。
  • 日本の漢方では一般にクチナシ(水梔子)を山梔子の名称で使われています。
  • エキス剤等で使われているクチナシ(水梔子)は染色用で、本来の薬用ではありません。
  • 太陽堂漢薬局では伝統を守り山梔子を使用しています。

甘草(カンゾウ)Vol.2

生薬-甘草

2016年12月

マメ科 ウラルカンゾウの根・茎を用いる

中国最古の「神農本草経」の中にも上品と収載されており、甘草は漢方薬の中で最も多く配合されている生薬です。

他の生薬の効果を高める働き、刺激を緩和する働きがあります。

主な作用

緩和・鎮痛・解毒する作用があり、筋肉の拘急による痛みに特に効果があります。急性の腹痛や筋肉の引きつり等の急迫症状を緩和します。

百薬の毒を解す

また「百薬の毒を解す」と言われ、この毒とは現代の毒の概念とは若干異なり、薬味や薬性が激しい物の事を言い、反応が急峻な物などの効果や働きを調和させる働きがあります。

生甘草と炙甘草

甘草には、生甘草と炙甘草があります。

生甘草は、解毒する働きが強まり、炙甘草の場合は補気作用が強まります。

食品添加物に甘味料として使用される事が多い甘草です。

普段のお食事と漢方薬により甘草を摂り過ぎる事で、体外へカリウムを排出してしまう働きがあります。甘草が多い漢方薬を使用している場合は、生野菜や果物を摂るようにご養生として太陽堂漢薬局ではお伝えしております。

*甘草の修治は、皮を去る皮去り生甘草、皮を炙る炙甘草になります。

前回に続き 甘草(カンゾウ)Vol.3

今回は現代薬理学的なお話です

生薬-甘草

2017年1月

マメ科 ウラルカンゾウの根・茎を用いる

甘草の成分

甘草の根にはグリチルリチンが含まれています。医療用医薬品の中にグリチルリチンを精製した、グリチルリチン酸(グリチロン)と言うお薬があります。

グリチロンは、慢性肝炎湿疹や皮膚炎・円形脱毛症・口内炎などに用いられます。

実際のところ、肝機能回復や抗炎症作用は、精製後のグリチロンよりも、精製前のグリチルリチン、更に生薬の甘草のほうが効果が高い報告が実験データとして挙がっています。

甘草の副作用

甘草は安全性の高い低カロリーの天然甘味料として広く出回っています。(醤油、味噌、漬物、つくだ煮、清涼飲料水、氷菓・・・などに食品添加物として含まれています)

気を付けないと行けないのは、甘草の摂取過多による副作用=偽アルドステロン症(低カリウム血症を伴う高血圧)です。動物実験では、人間に換算し、1日量5gを1年間与えないと甘草による副作用は現れません。

副作用の出やすい人

副作用の出現しやすい3つのタイプがあります。

  • 食品添加物として知らないうちに甘草を大量に摂取している。
  • 利尿(降圧)剤を常用。(利尿剤で慢性的低カリウム状態になっています)
  • 日頃からカリウムの摂取が少ない。(野菜・豆類・果物が嫌いな人)

漢方薬の毒消しをする甘草。上手く使える様に日頃の食事を見直すのも大切かもしれません。

茯苓(ブクリョウ)Vol.4

中国39-生薬-茯苓

2017年2月

サルノコシカケ科 松塊(まつほど)の菌核

松塊とは赤松や黒松の根に寄生する菌糸の塊の事を言います。塊は茯苓になりますが、根の周りを茯神といい、その根を茯神木と言います。

名前の由来

昔は菌糸体から出来ている物とは分からない為、松の霊気が伏結して生じて伏霊(ブクレイ)と、言いました。これが変じて茯苓となりました。

昔の日本では「茯苓突き」と言われる職業があり、松の葉の外周部分の真下の根に茯苓が寄生する事から、葉の外周部分の地面を突いて茯苓が出来ているかを確認していました。

中国では子供のおやつ

中国では生茯苓を蒸して餅にして食べたりするなど、とても安心して使用する事の出来る生薬です。

主な作用

主な働きとして、皮に近い部分は利水する働きが高く、茯神部分になると安心作用に優れています。また、健脾作用により、胃腸機能の改善に用いられます。生薬の白朮と組み合わせる事で、利水する働きが更に高まり、免疫力を高める働きをするようになります。

金銭草との組合せ

太陽堂では茯苓と金銭草の組み合わせにより、胆石胆砂、膵石、腎結石、歯石などを取る働きをする事を確認しており、油の消費量が増えている現在では胆石胆砂は、日本人3人に1人の割合でお困りの方がいるようです。 毎日、お食事と一緒にもお飲み頂ける、お茶のようなお手軽な漢方薬です。

黄芩(オウゴン)Vol.5

生薬-黄芩

2017年3月

シソ科 黄芩(別名;コガネヤナギ)の根

粘毛黄芩(ネンモウオウゴン)・滇黄芩(テンオウゴン)・甘粛黄芩(カンシュクオウゴン)・薄葉黄芩(ハクヨウオウゴン)・麗江黄芩(レイコウオウゴン)・川黄芩(センオウゴン)等、同属植物が薬用として使用されます。
漢方薬では川黄芩を用います。
主な分布は四川西部。水はけの良い、草の生えた肥沃な土壌の傾斜地に自生します。

主な作用

薬理作用は、抗炎抗アレルギー作用、抗微生物作用、解熱作用、降圧・利尿作用、脂質および糖質に対する作用、利胆、鎮痙、鎮痛作用等。
東洋医学での「気味」は「苦、寒」。清熱・利尿・利胆剤として用います。

漢方薬の原料薬味

黄芩を用いた漢方薬は数多くあります。(黄芩湯、大柴胡湯、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、柴胡桂枝乾姜湯、黄連阿膠湯、当帰散・・・)
脳充血、高血圧、腸炎、慢性肝炎腎炎、小児の急性呼吸道感染等、多数の症例も報告されています。

太陽堂漢薬局の黄芩

近年、野生の黄芩が手に入り難く、又、高価な事もあり、畑で栽培された黄芩が出回っています。栽培品の黄芩には、本来の野生品では起こらなかった副作用が起こる事例もあります。
当薬局では、野生の川黄芩のみを選別し煎じ薬に調合しています。

桜皮(オウヒ)Vol.6

風景65生薬-桜皮

2017年4月

<バラ科 薬用は主にヤマザクラの樹皮>

桜皮と言うのは和名であり、中国では使用されておりません。日本独自の生薬と言われており、ヤマザクラやソメイヨシノの樹皮を剥がし、日干しした物を薬用として使用しています。
主幹が20センチ以下の太くない木を用います。
桜皮の外観は赤褐色ないし灰褐色で光沢があり特有の香りと微かな渋みがあります。

日本独自の生薬

江戸時代には民間療法として桜皮は様々に応用されてきました。
魚の中毒、蕁麻疹、腫れもの(おでき)などの皮膚病、また解毒、止咳、収斂薬として知られていました。
日本の漢方家も解毒・排膿の効果があるとし、化膿傾向のある湿疹に対する処方である、十味敗毒散や荊防敗毒散の内容を加減し使用しています。現在でも桜皮は鎮咳去痰薬として臨床に用いられています。

太陽堂漢薬局では

桜皮より撲ソクの方が抗菌作用が強いため、十味敗毒散は撲ソクを使用する処方を主に使用しておりますが、桜皮も糸練功で確認し使用する場合があります。

これから桜の綺麗な時期になります。花は勿論素晴らしいですが、樹皮も昔から人の役に立ってきました。花を楽しむだけではなく、薬用として使用しても素晴らしい生薬です。
今回は、身近な所から生薬をご紹介させて頂きました。

朝鮮人参(チョウセンニンジン)Vol.7

生薬-人参

2017年5月

<ウコギ科 日本名オタネニンジン>

朝鮮人参は、薬用人参として多くの漢方薬の原料として使用されています。
人参の味(五味)は、「甘くて苦い」と成っています。の悪い人参は苦く、質の良い人参は甘いです。

質の悪い人参

  • 栽培期間が短い1~3年もの
  • 薬用人参の皮部分、髭根部分は質が悪く苦みが多いです
  • 一般に中国産は質が悪いです

質の良い人参

  • 栽培期間が長い物、できれば6年根が最良です
  • 薬用人参の皮や髭根を取り去った「髭去り・皮去り人参」を使用します
  • 一般的な中国産を用いず、韓国産或いは中国でも長白山系の薬用人参を使用します

人参の有効成分

薬用人参の「皮部分や髭部分」には、人参サポニンが大量に含まれ、苦みと毒性があります。そのため古来より薬用人参は「髭去り・皮去り人参」を使用してきました。
しかし、現在の日本の漢方薬は、殆ど全て「皮部分や髭部分」を使用されています。
太陽堂漢薬局では本来の「髭去り・皮去り人参」を使用しています。
薬用人参の有効成分は、「ジンノサイド」と呼ばれる甘味部分です。人参サポニンは苦みになります。

桂皮(ケイヒ)Vol.8

生薬-桂皮

2017年6月

クスノキ科 

2種類の桂皮

桂皮は馴染みのある名前ではシナモンと言われております。

シナモンはセイロン桂皮になり、当薬局では2種類の桂皮を用途に合わせ用いています。

桂皮を使い分ける

体表を温める力の広南桂皮と裏を温める力のベトナム桂皮を使い分けています。
また、陽証に広南桂皮を用い、陰証にはベトナム桂皮を用います。

風邪の引き始めに葛根湯のイメージがある様に、桂枝湯や麻黄湯などにも桂皮が使用されています。
風邪かなと思う時は身体がブルブルする寒気を感じると思います。その時に体表を温める広南桂皮を使用する事が多いです。

陰陽と桂皮

また、東洋医学では大きく陰と陽に分け、より細かい病態へと分けます。
「陽では太陽病・少陽病・陽明病。陰では太陰病・少陰病・厥陰病」
桂皮は主に陽病に使用する生薬になりますが、体質的に虚弱な方に使用する事のある柴胡桂枝乾姜湯証などはベトナム桂皮の方を使用する事が多いです。

その他に発散する働きを高める為に桂皮を用いる事が多く、その時は広南桂皮を使用する場合が多いです。
お一人お一人の体質に合わせ、太陽堂漢薬局では桂皮を使い分けお造りしております。

生姜(ショウキョウ)Vol.9

生薬-生姜-乾姜

2017年7月

ショウガ科 ショウガの根茎

生姜は、もっとも多くの漢方薬に用いられる生薬です。植物の基源としては単一ですが、その調製法によって、生姜、乾生姜、乾姜に分けられています。

生姜の種類

  1. 生生姜;食用の生姜。生姜水は吐き気止めになります。乗り物酔い、悪阻等に用います。
  2. 乾生姜;現在の日本で漢方に使われる生姜です。何十年か前までは生生姜を使用していました。
  3. 乾姜;非常に身体を温めます。新陳代謝を活発にします。

生姜には、【発表作用】と【体表を温める作用】の2つの成分があります。

漢方薬では、「乾生姜」と「乾姜」を使用します。

  • 乾生姜・・・発表作用>温める作用(熱)
  • 乾姜・・・・発表作用<温める作用(熱)

「発表作用」の成分はシオネール、ピネン、ジンギベレン、ジンギベロール等の精油成分。「熱」の成分はジンゲロン、ショウガオールと言う辛味成分になります。

薄荷(ハッカ)Vol.10

生薬-薄荷

2017年8月

シソ科の多年草

身近で目にする事の多い薄荷を生薬としてご紹介致します。

薄荷を目薬へ

薄荷は「目草の葉」と「漢方薬」として使われていました。目草は、葉に熱湯を注いで出てきた侵液がメントールなどの精油が含まれているので、目がサッパリする。タンニンも少量含まれている為、目のタダレも治る事があります。

現在の目薬にもメントールを使用した物が沢山あります。

良品の薄荷

薄荷は新しい物ほど良品とされています。薄荷に含まれる精油成分が無くなると効果が悪くなり質も落ちてしまいます。

冷蔵庫の無い時代から使われていた薄荷は、夏を越したものは処分していました。

現在では冷蔵庫などで保管して頂くと数年間は質を保つ事が出来る様になりました。

薄荷を使った養生法

軽い鼻炎の時に薄荷の葉だけを噛むと発散する力により症状が和らぐと言われています。

また、薄荷の含まれる漢方薬をお飲みの場合は、薄荷の芳香剤や薄荷の匂い袋など、香りがする物を身に着けられる事で香りから、漢方薬の働きを高める事が出来ます。ガムや飴などでも良いのですが、白砂糖を多く使用している為、皮膚症状の場合はガム、飴の摂り過ぎで悪化しない様ご注意下さい。

酸棗仁(サンソウニン)Vol.11

生薬-酸棗仁

2017年9月

クロウメモドキ科の植物

酸棗仁は、棗仁(和名:サネブトナツメ)の種子です。
気候が比較的温暖で乾燥した地帯の物が良いとされています。
生命力が強く、溝のそばや道端の荒れ地を利用して栽培されます。

太陽堂漢薬局で修治をしている生薬の一つになります。

  • 生の酸棗仁をそのまま使用すると、覚醒作用があります。
  • 炙ると鎮静作用に変わります。

太陽堂漢薬局では、酸棗仁を炙って不眠症・精神安定への効果を増して使用します。

適応;不眠症、精神安定

逆に、日中の疲労感改善には覚醒作用の効果を増す為、生の酸棗仁を用います。

その他の薬理作用として、鎮痛・抗痙攣・心臓血管系への影響(抗圧作用)・熱傷に対する影響等、が報告されています。

牛膝(ゴシツ)Vol.12

生薬-牛膝

2017年10月

<イノコズチの根を乾燥させたもの>

日本でも多数自生しています。
茎が牛の膝に似た節があることで「牛膝」の名を得ました。
節が大きく、紫色で長い物が良品で、節が細く、青色で短い物は劣品になります。

牛膝の働きと成分

  1. 成分にはカリウムが多く、利尿作用があります。この働きを利用し漢方では湿熱(リウマチ・神経痛・関節痛・腎結石・尿道炎等)に使用します。
  2. 子宮収縮作用があります。そのため月経痛・無月経等に使用します。しかし妊婦には流産・堕胎の可能性があり禁忌となります。
  3. 牛膝には「下行する性質」があります。月経を起こし、利尿・排便(腸管抑制作用)・降圧作用・身体上部の充血を取る働き等があります。
  4. 牛膝の修治(毒消し)は、酒(紹興酒)をかけ、蒸らし、その後に火をかけ炙ります。
  5. 牛膝の配合されている漢方処方には、牛車腎気丸、疎経活血湯、折衝飲等があります。どの漢方薬も使用頻度が多い処方です。

茵蔯蒿(インチンコウ)Vol.13

生薬-茵蔯蒿

2017年11月

<多年草カワラヨモギの種子>

昔は、葉や茎を薬用にしていました。現在は種子や花穂を使用しています。

茵蔯蒿の主な作用は

  1. 解熱作用
  2. 胆汁分泌促進作用
  3. 消炎・利尿・黄疸を抑える作用

等があります。

茵蔯には苦みの成分があり、この苦み成分が黄疸を抑え、消炎作用、利尿作用をもたらしています。(外用に使用すると、水虫・タムシにも効果があります)

茵蔯を使う漢方処方には

  1. 茵蔯蒿湯や茵蔯五苓散が黄疸で有名です。同様に黄疸に使う処方に梔子拍皮湯があります。
  2. 茵蔯蒿湯や茵蔯五苓散は湿熱の黄疸に使用し、燥熱の黄疸には梔子拍皮湯を使用します。
  3. 湿熱に使う茵蔯蒿湯や茵蔯五苓散は、黄疸以外にアルコール性肝炎やお酒の飲み過ぎにも効果があります。

茵蔯蒿は、原料のままエキス化したり、煎じても成分の抽出が悪く、効果が薄くなります。 そのため太陽堂漢薬局では下処理として茵蔯蒿を磨り潰し、エキス成分が多く抽出されるよう独自の工夫をしています。

大黄(ダイオウ)Vol.14

生薬-大黄

2017年12月

根が黄色なので、大黄と呼ばれるようになった漢方薬です。

大黄は漢方薬の「将軍」と呼ばれています。敵(病気の原因)を積極的に排除する戦いをするので「将軍」と呼ばれるようになりました。

大黄には、大きく錦紋大黄と唐大黄に分けられます。錦紋大黄は「清熱作用」が強く、唐大黄は「瀉下作用」が強くなります。

大黄の副作用

瀉下作用は、大黄のアントラキノン誘導体による働きです。アントラキノン誘導体の副作用には腹痛があります。

大黄は、虫が付くほど古くなると、アントラキノンOH型が酸化され、アントラキノンO型に変化し腹痛等の副作用が減少していきます。
その為、大黄は古い物ほど良質となる漢方薬の代表でもあります。

その他、アントラキノン誘導体の副作用を減らすには

  1. 選別の段階で、軽質の大黄を選び、重質の大黄は避ける。
  2. 煎じる時間を長めにすれば、副作用が減少します。
  3. 修治(漢方薬の下ごしらえ)を行い副作用を減少させる。

等の方法があります。

太陽堂漢薬局では、大黄を酒で蒸し「酒製大黄」に加工し、副作用を減じてから患者さんに出すようにしています。

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