病236

生理不順。漢方薬剤師が解説

生理不順とは、経血量の減少等の周期、期間、経血量が乱れた状態(広い意味で無月経も含まれます)です。初潮後数年間、または更年期の時期に見られる事が多いです。

生理不順の症状としては、のぼせ・腰痛・下腹部痛・不眠などの精神神経症状を伴う場合もあります。

原因は、卵巣機能の異常や血管運動系、ストレス等が考えられ、複雑に原因がある事もあります。

成長期に生じた生理不順は、成長ともに治癒することも多いですが、治癒しない場合は治療が必要となります。更年期に生じた生理不順は、数ヶ月続くことが多いです。

生理不順の西洋医学の治療

西洋医学の治療は、ホルモン剤が中心となります。ホルモン剤には副作用もしばしば見られます。

生理不順をホルモン剤を使用せずに治療ができれば好ましいことです。

生理不順の漢方治療

生理不順は漢方の得意分野の一つです。漢方薬の効果は、比較的早く現れることが多いです。また1年以内に改善する場合が多いです。

漢方では、東洋医学的原因を古血(陽)、血虚(陰)に大きく分け、それぞれの漢方薬を用います。

生理不順と生理周期の仕組み

1回の生理周期を解説します。低温期、排卵期、高温期のホルモンの働きを説明します。

漢方学会099

  1. 始めは、視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が分泌されます。
  2. 低温期開始。GnRHの刺激を受けた脳下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌され、低温期となります。
  3. FSHが卵巣を刺激し、いくつかの原始卵胞が成熟して成熟卵胞になります。
  4. 成熟卵胞によって卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌されます。
  5. エストロゲンの働きによって、子宮内膜が増殖し厚くなります。
  6. エストロゲンが一定量分泌されると、2番のFSHに代わって黄体化ホルモン(LH)が脳下垂体から分泌されます。
  7. 排卵。LHの働きで、成熟卵胞が破裂し中から卵子が飛び出し卵巣の外へ。排卵が起こります。
  8. 卵子が飛び出した後の卵胞は黄体となり、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌されます。
  9. 高温期。プロゲステロンの働きにより子宮内膜が分泌層に変化し、受精卵が着床しやすい状態になります。高温期を形成します。妊娠への準備が完了します。
  10. 妊娠が成立しなかった場合、黄体はしぼんでプロゲステロンが分泌されなくなります。それを受けて子宮内膜は剥がれ落ち、血液と共に体外へ。月経となり生理周期が終わります。

生理不順と女性の身体

子宮

子宮全体が厚い筋肉によって形成され、内側にはスプーン1杯分程の小さな隙間があいています。子宮の筋肉の内側を内膜、外側を子宮外膜といいます。

  1. 生理周期により、内膜はホルモンの影響を受け厚くなり、排卵直前には3~4mmに、着床する頃には9~10mmにまで肥厚します。
  2. 妊娠しなければ、内膜は剥がれ落ちて膣から体外に捨てられます。これが月経です。このときの血液の量はコップに半分弱ほどと言われています。子宮は膣によって外界とつながっています。

卵巣

卵巣は左右に1対あり、長径が約3~4cmほどのやや平たい楕円形をしています。成熟卵を排卵する役目と、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2つの合成と分泌を行ないます。これにより生理周期が生まれます。

妊娠週数の計算方法

生理周期28日で、排卵を月経開始から14日目と仮定します。最終月経の始まりを「妊娠0週0日(起点)」と考えます。

  1. 排卵は14日目ですので、「妊娠2週目(14日)」
  2. 次の生理予定が、「4週目(28日)」
  3. 出産予定は、「40週目(280日)」となります。

仮に周期40日と仮定した場合、生理不順の方は

生理周期が分ると、出産予定まで計算できます。

一般的に高温期は2週間14(±2)日間です。排卵を妊娠2週目(14日)と考えます。

  1. 低温期が長くなっていますので、排卵は、「周期40日-高温期14日間=最終月経の始まりから26日目」となります。
  2. 最終月経の始まりから26日目が、「2週目(14日)」となります。
  3. 出産予定は、最終月経の始まりから26日目の「2週目(14日)」に、38週(266日)を加えると「出産予定40週目(280日)」となります。

漢方医学から見る-生理不順と基礎体温表

漢方学会092

基礎体温表は、卵胞ホルモンやプロラクチン、黄体ホルモン等の結果を現しています。ホルモン同士のバランスや最終的な状態を表現しているといえます。

漢方薬と基礎体温表の意外な関係。東洋医学からみた関係を説明します。東洋医学(証、治療法)の判断には、基礎体温表も重要です。漢方の証を判断する事が出来ます。

ただ基礎体温表だけで漢方の証を判断しているわけではありません。問診から分る体質、普段の生活状況、糸練功などから総合的に判断し、漢方薬を提案していきます。

基礎体温表と漢方薬の関係

基礎体温表が全体的に高い

瘀血(古血)証の方が多いです。

基礎体温体表が全体的に低い(低温期に36.2℃を切っている)

血虚・脾虚証の方が多いです。

基礎体温表で低温期の実証

排卵までの期間が長く、生理周期が長い。瘀血証(桂枝茯苓丸証など)の方が多いです。

低温期の虚証

六君子湯証が多いです。

高温期の実証

高温期が長い。瘀血(古血)証(桂枝茯苓丸証、桃核承気湯証など)の方が多いです。

高温期の虚証

高温期が短い、途中で基礎体温が下がる場合など。黄体機能不全の可能性があるとされます。漢方でみると血虚証(当帰芍薬散証など)の方が多いです。

基礎体温表で排卵から高温期までの駆け上がりが悪い

脾虚・血虚などの方が多いようです。プロラクチンの異常や当帰散証にも見られます。

基礎体温表の高温期・低温期が二相に分かれていない

無排卵の可能性があります。高温期を形成していない場合が多いです。

高温期が長い

高温期が3週間以上続く時は、妊娠や流産の可能性の他、内科的な病気があることもあります。病院で検査されることを勧めます。

漢方薬を選択するのに基礎体温表の変化は役にたちます。基礎体温表だけで選べる漢方薬もある位です。例えば白朮散等です。

基礎体温表をつける事がストレスと感じる場合もあります。無理につける必要はありませんが、有ると様々な情報を見てとれます。

漢方相談のご案内