パーキンソン病と本態性振戦

パーキンソン病と本態性振戦 - 漢方相談

パーキンソン病や振戦は、ご自分の意思では抑えられない振るえがきます。

パーキンソン病・振戦が進行すると、箸を持つことも困難になり、仕事や日常生活、歩行に影響が出てきます。

中脳黒質のニューロンが脱落し黒質線条体の働きが低下した病態です。ニューロンの脱落は老化により生じるため、誰でも120歳になると理論的にはパーキンソン病になります。

パーキンソン病の人は、年齢よりもニューロンの脱落が早く、老化が早く進んでいると考えられます。

西洋医学的にも様々な新薬が開発されていますが、パーキンソン病・振戦は、現実には非常に難しい疾患だと言えます。

◆パーキンソン病と本態性振戦の東洋医学の治療概念

パーキンソン病やチック病、本態性振戦の区分けを東洋医学ではせずに、「振戦(振るえ)」という症状を「漢方の証」として捉え、患者さん一人一人に合わせ漢方独特の概念により治療がなされます。

東洋医学で言う「臓腑経絡」は、西洋医学の「内臓」とは異なります

肝は筋を主どる

東洋医学の臓腑概念の中に、「五主」と言うものがあります。その中に「肝は筋を主どり」とあります。これは「肝が病むと筋肉が引きつったりする(パーキンソン病、振戦)」と言う意味です。

ちょうどパーキンソン病や本態性振戦、チック病などの病態が「肝」に含まれ、これらの症状は東洋医学では「肝の病」となります。

また、「肝」の五志は「怒り」です。イライラや短気などのストレスにより「肝の病」は酷くなるとされています。そのため、イライラや焦りなどは避けなければいけません。

◆パーキンソン病・本態性振戦に有効な報告がある様々な漢方処方

以下の漢方薬は、パーキンソン病や振戦・チック病等に有効だとの報告が学会等であった薬方です。

  • 小承気湯
  • 抑肝散・抑肝散加陳皮半夏・抑肝散加芍薬
  • 半夏厚朴湯
  • 苓桂甘棗湯
  • 四逆散・他柴胡剤
  • 厚朴一味

上記薬方は、パーキンソン病・振戦に単独で用いるより、芍薬甘草湯を合方、芍薬・厚朴等を加味して用いる場合が多く、効果も増します。

太陽堂漢薬局では、これらの薬方を中心に一人一人の患者さんに合わせ、パーキンソン病・振戦の治療法を組み立てていきます。

古方派の「漢方診療医典」を参考にパーキンソン病と本態性振戦

大塚敬節・矢数道明・清水藤太郎著に、パーキンソン病に対する漢方治療の記述がありますので、ご紹介します。

小承気湯合芍薬甘草湯

厚朴の量を普通の3倍から4倍に増量して用いる。大黄の量は大便の通じ具合によって増減するがよい。

これでふるえがとまり、筋肉の強剛が緩解することがある。筆者はこれで全治せしめた例を持っている。

抑肝散合芍薬甘草湯加厚朴

気分に落ちつきがなく、不安な、不眠などを伴うものによい。

最近58歳の男子で、パーキンソンの初期で、軽症のものに、本方を用いて3か月でほぼ完治したものがある。

大沢勝氏は、厚朴1味を用いて、治癒せしめた例を報告している。