竹葉石膏湯、治打撲一方、知柏八味丸、知柏地黄丸、調胃承気湯、釣藤散

漢方薬

日本漢方の古方派を中心とした漢方薬、処方をご紹介します。
一般の方から専門家まで馴染めるよう、改善例、処方薬味、適応疾患、使用目標、漢方の証、方意をご紹介。

竹葉石膏湯。傷寒論

改善例は喘息の症例です、

改善例

喘息
女性。漢方処方応用の実際より引用

風邪をこじらせて以来、喘息のようになって咳が年がら年中出ている。痰が絡んで切れにくく咳が激しいときは喘鳴を伴い呼吸が苦しくなる。咳の酷い時は一日中咳こんでいて何も仕事ができない。夜も咳が出るので安眠したことは一晩も無い。食欲がなく疲労しやすく、いつも疲れている。冷え症で手足が冷たく、いつもカイロを使っている。冬は腰が痛み、下痢しやすく秋から冬にかけては風邪を引きやすく、冬の間じゅう風邪の気分が抜けない。また毎月排卵期から月経が終わるまでめまい、頭痛、全身倦怠感が酷い。患者はやや長身で中肉、一見体格のよい婦人であった。

処方薬味

甘草甘草 竹茹、竹葉竹葉 石膏石膏
粳米粳米 麦門冬麦門冬 半夏半夏
人参人参    

適応疾患

感冒の長引いたもの、流感、気管支炎、肺炎、気管支喘息、麻疹、呼吸困難、肺結核、糖尿病

使用目標

麦門冬湯の証に似て、口渇、口乾のある方に用います。発熱症が長引いて余熱が残り、痰が多く咳が激しく呼吸が浅表となり心下部が冷えて嘔吐することがある方に用います。睡眠不足で夢を見ることが多い方で、口舌乾燥し、食欲不振、寝汗などがあり、痩せて身体枯燥し皮膚が乾燥する傾向にあり、肌が熱く触れることがある方に用います。

漢方の証、方意

  • 病位、虚実
    少陽病、虚証
  • 十二臓腑配当
  • 方意
    気の上衝。咳嗽、逆上せ、逆上感、不眠症
    熱証。口渇、心中煩悶、発熱
  • 備考
    白虎加人参湯証の口渇は、竹葉石膏湯のものよりはるかに強度で、しかも、裏の熱証、裏の実証です。

治打撲一方。香川家方

川骨

処方薬味

桜皮の代わりに撲ソクを使う処方もあります

甘草甘草 川骨川骨 川芎川芎
桜皮桜皮 丁香、丁子丁香 桂皮桂皮
大黄大黄    

適応疾患

打撲、捻挫、打撲後遺症、慢性腱鞘炎

使用目標

体力中程度の人を中心に用い、打撲、捻挫による腫脹、疼痛がある方に用います。筋肉、腱、腱鞘などの疼痛が長期にわたるものに用います。一般に打撲直後よりも、数日以上経たものに適応症が多いです。新鮮な挫傷、打撲傷は大体1週間位で良くなります。

漢方の証、方意

  • 病位、虚実
    少陽病、虚実中間からやや虚証
  • 方意
    瘀血による内痔核、血腫、腫脹、疼痛
  • 備考
    受傷後、日が浅い場合は大黄を加えて消炎作用を増強し、古い昔からの傷には附子、アコニン酸を加えます。

知柏八味丸、知柏地黄丸。医鑑

知母

処方薬味

地黄地黄 山茱萸山茱萸 山薬山薬
牡丹皮牡丹皮 茯苓茯苓 澤瀉澤瀉
黄柏黄柏 知母知母  

適応疾患

高血圧症、糖尿病、慢性腎炎、慢性肝炎、慢性尿路感染症

使用目標

火照り、逆上せ、熱感、午後の微熱、咽痛、口渇、寝汗、性欲仮亢進などの症状が明らかな方に用います。

漢方の証、方意

  • 病位、虚実
    虚証
  • 十二臓腑配当
  • 備考
    六味丸に知母、黄柏を加えたものです。

調胃承気湯。傷寒論

大黄

処方薬味

甘草甘草 大黄大黄 芒硝芒硝

適応疾患

急性腸炎、慢性便秘、歯牙などが腫痛して便秘を伴うもの、しゃっくり

使用目標

体力がやや衰えた人の便秘に用います。病後の便秘、老人の便秘などで、口や舌が乾いて、腹が張り気味の方に用います。熱証で便秘しているときに、頓服として用いることがあります。けれども、この際に脈が沈実で腹にも弾力があることが条件となります。

漢方の証、方意

  • 病位、虚実
    陽明病、やや実証から実証
  • 方意
    裏の熱証。悪寒、潮熱、局所の発赤
    裏の実証。軽度の便秘、腹満、局所の腫脹
  • 備考
    承気湯類には、大承気湯、小承気湯、桃核承気湯、調胃承気湯の4方があります。桃核承気湯は瘀血を下すもので、大承気湯、小承気湯と調胃承気湯は、気をめぐらし便通をつける薬で、調胃承気湯はその内で最も作用の緩和な物です。

釣藤散。本事方

釣藤鈎

処方薬味

甘草甘草 釣藤鈎釣藤鈎 生姜生姜
橘皮橘皮 茯苓茯苓 半夏半夏
菊花菊花 防風防風 石膏石膏
人参人参 麦門冬麦門冬  

適応疾患

神経症、常用性頭痛、眩暈、肩凝り、脳動脈硬化症、高血圧症

使用目標

年配者の頑固な頭痛で眩暈を伴う方に用います。朝起き抜けや休息時の頭痛、頭重は大切な目標になります。しかし、これがなくとも有効な場合があります。

漢方の証、方意

  • 病位、虚実
    少陽病、虚実中間
  • 十二臓腑配当
    肝、心
  • 方意
    気の上衝、気による精神神経症状としての朝の頭痛、眩暈、頭重、耳鳴り、不眠、感情不安定、健忘、抑うつ気分、しばしば腎の虚証としての夜間頻尿、時に脾胃の虚証、燥証。