漢方の醍醐味・入江正先生との出会い

入江正先生との出会い

上海気功研究所

*写真は、上海気功研究所。気功をお教えいただいた柴教授が初代所長を務められた上海気功研究所での八段錦(気功の基礎・基本)の演舞

漢方を2~3年勉強すると、少しだけ漢方が分かってきます。薬方を50方位覚えると、面白いように病気が治せるようになります。

しかし更に勉強し薬方を200方以上覚え、4~5年経つと治せなくなります。治った症例だけでなく、治らなかった症例に目を向けだし、治せない自分に気付くのです。

最初は理論的に証の判定(漢方独自の診断)をしています。治せなくなると似たような症例を過去の文献から引っ張り出し、その真似をするようになります。そこには漢方理論などありません。残念なことですが、古方を勉強し真剣に患者さんに接する先生が通る辛い道です。

私が一緒に古方を勉強した仲間達で、現在も古方を続けているいる人は誰もいません。皆、挫折していきました。

ある時、膝の痛い中年女性(変形性膝関節症)の相談を受けました。膝から10cm位離れた所から手掌に熱を感じました。手背では感じないのです。不思議でした。

その直後、東亜医学会の「漢方の臨床」の中で「手掌で熱を感じ、手背で寒を感じる」という一文を見つけました。著者は入江正先生でした。入江先生の研究発表を読み漁りました。

生前に入江先生がよく言ってらっしゃった「目から鱗が落ちる」。本当にそうでした。入江先生の開発されたFTの猛練習と入江先生の理論を隅から隅まで勉強しました。でも一生懸命訓練しても患者さんを治せませんでした。

1年後、大阪の入江塾に入塾しました。

2年後、どうしても治せないのです。針灸の出来る入江先生と、漢方専門の私では状況が違いました。

3年位した時に、陰脈・陽脈の経気の流れと病気の進行具合に関連がある事に気付きました。深浅診の発見です(1993年)。

深浅診を使うと複雑に絡まった病状を見事に分けて診る事が出来るのです。患者さんの病状が面白いように分かり治せるようになりました。

上海の柴先生に習った気功の技術と入江先生に習った糸脈診FTを合わし糸練功を創り上げました。

入江先生にFTを習わなければ糸練功は完成出来ませんでした。神様と呼ばれた間中善雄先生の一番弟子、名実ともに天才努力家の入江先生に感謝し、先生のご冥福をお祈りいたします。

糸練功を求められて?

猿頭霜

*写真は、猿頭霜。自閉症や多動性疾患に応用される猿頭霜。今では入手困難な生薬です。

講師に行った時、ある研究会で糸練功を実演したことがあります。それを契機に全国から問い合わせが殺到しました。

悩んでいらっしゃる患者さんが多いことを実感しました。太陽堂漢薬局は患者さんが増え、私一人の身体では間に合わなくなりました。

私と同じように漢方の勉強をして糸練功が出来る先生が増えると、多くの患者さんに接してあげられる。この思いに共鳴してくださった先生方を中心として、現在の伝統漢方研究会の活動がスタートしたのです。最初は私の自宅で5~6人の先生方が集まり、漢方と糸練功の勉強会を始めました。

同時に、私は、志のある先生方が効率よく勉強出来るように、資料作りを始めました。それが今の伝統漢方研究会の「レベル1」、「レベル2」、「古方、これだけ覚えれば絶対だ」の資料・本に成って行きました。1995年のことです。