太陽堂漢薬局の漢方学会・研究会での発表論文

太陽堂漢薬局が、東洋医学関係の学会・伝統漢方研究会全国大会にて発表報告した論文です。ご覧下さい。

【 蕁麻疹(じんましん) 】

2015年11月 伝統漢方研究会第12回全国大会 (日本・京都東急ホテル)

木下順一朗

太陽堂漢薬局

福岡県 福岡市

[諸言]

蕁麻疹で悩まれる患者さんは、非常に多いと思われる。蕁麻疹は皮膚の血管周囲のマスト細胞からヒスタミン等が遊離されることにより生じる。

マスト細胞からの顆粒放出の原因は、様々である。機械的な刺激、アレルギー性、非アレルギー性等考えられる。また発汗によって引き起こされるコリン性蕁麻疹等も患者数は多い。

今回報告する患者さんは、様々な治療に抵抗し最終的に自己免疫疾患と同様の治療で改善した症例である。

症例

主訴:蕁麻疹

既往症:花粉症、抗生物質服用にて蕁麻疹

現病歴:アレルギー性蕁麻疹が20歳位から出始め、23歳の頃に漢方治療を1年程度行う。その後、治療先を変え2年程漢方治療をするが、次第に漢方薬を飲んでも効かなくなり漢方治療を中断する。その後は、蕁麻疹は出ても自然に治まっていた。

現症:38歳、女性、身長157cm、体重43Kg。血圧157/50。

舌診は、湿・苔無し・紅舌、舌下静脈の怒張は少ない。冷え性で眼瞼結膜は淡白で貧血が伺える。口渇無し、水分摂取は多く、寝汗がある。生理不順で平均35日周期、生理期間5日、生理痛がある。飲酒はしない。

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今回は、2年位前から蕁麻疹の症状が悪化してきた。顏から足の裏まで出る。特に起床時、入浴後、食事後等で体が温まると蕁麻疹が出やすい。

最近は、蕁麻疹の出方が酷くなり、蕁麻疹が引くのも時間が掛かるようになってきた。

治療経過:糸練功にて太陽病位の葛根湯加石膏と油脂の代謝に関わる解毒症体質の柴胡清肝湯加味方を投薬。糸練功にて蕁麻疹の仮性アレルゲンと思われる食品を調べ、ゴーヤとナス科の皮に反応するため食事指導を行う。

治療途中に湿疹が出るが竜胆瀉肝湯の服用1週間で消失する。その後も蕁麻疹の症状は一進一退を繰り返す。

十味敗毒湯合消風散に変方。糸練功の合数は改善するが蕁麻疹の改善は進まなかった。

桂麻各半湯合香蘇散に変方するが、症状改善は見られない。

治療開始より9ヶ月後、茵蔯蒿湯去大黄合葛根湯加石膏に変方。蕁麻疹は殆ど出なくなる。出ても非常に症状は軽く、気にならない程度となる。

治療開始後11ヵ月後、再び蕁麻疹が悪化し始める。夏季でもありコリン性蕁麻疹を疑い、小柴胡湯加牡蠣に変方する。著効を示し蕁麻疹は直ぐに出なくなる。

治療開始13ヵ月後、また蕁麻疹が出始め柴胡桂枝湯加牡蠣に変方する。

治療開始14ヵ月後、効果が見られず柴苓湯太陽堂第四加減に変方する。

その後、小柴胡湯を柴胡桂枝湯に変え、五苓散を四苓湯に変える。その後は多少の波はあるが、蕁麻疹は落ち着いてきた。

治療開始17ヵ月後、柴胡桂枝湯を逍遙散に変方。逍遙散合四苓湯とする。

治療開始3年後の現在も前記薬方にて治療中であるが、蕁麻疹は長期間に渡り殆ど出なくなった。

考察

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この蕁麻疹の患者さんに、葛根湯加石膏、柴胡清肝湯、十味敗毒散、消風散、茵蔯蒿湯去大黄、小柴胡湯加石膏、柴苓湯加減方等の漢方薬を使い3年間の漢方治療を行ってきた。

どの漢方薬を服用しても一時的に改善し、暫くすると悪化し始めるの繰り返しであった。

最終的に、自己免疫疾患の治療に多用する柴胡剤合四苓湯の方意に五志の憂を組み込むことで症状が落ちついた症例である。

結語

五志の憂が蕁麻疹の引き金になっていた事は、当然と言えば当然の事であった。

また自己免疫疾患に多用する柴苓湯は、柴胡剤合四苓湯の方意だが、経験的に柴胡剤は患者さんの証に合わせ変え、五苓散は四苓湯にした方が効果が良いように感じる。

今回使用した漢方薬

逍遙散1/2加山梔子1.4牡蠣1.8合四苓湯3/5加甘草0.3独活0.9露蜂房末0.3

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