水毒と胃内停水

2020年8月17日;
漢方では胃内停水(イナイテイスイ)と言う概念があります。
病因(病気の原因)を気毒(キドク)・血毒(ケツドク)・水毒(スイドク)の3つに分けます。
その水毒の大きな部分を胃内停水が占めています。
漢方の病因で考えると、あらゆる病気の原因の3分の1を占めていると思える程です。

舌診ゼツシン(舌での診断)をします。
鏡で貴方の舌を診てみて下さい。舌の周囲に歯型が付いている方が多いと思います。

胃内停水には2種類のタイプが有ります。
・歯形がクッキリされている方は胃内停水の実証(ジッショウ)です。
・柔らかく弱く付いている方は胃内停水の虚証(キョショウ)の方が多いです。
胃内停水の実証は、半夏(ハンゲ)の証です。
胃内停水の虚証は、白朮茯苓(ビャクジュツ・ブクリョウ)の証です。

◎半夏の証は「水が胸から上に上がる」タイプです。
・痰として上がれば、喘息や気管支炎。例;小青竜湯(ショウセイリュウトウ)、苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンキョウミシンゲニン)、越婢加半夏湯(エッピカハンゲトウ)
・鼻水として上がれば、花粉症、アレルギー性鼻炎。例;小青竜湯、苓甘姜味辛夏仁湯
・口中へ上がれば、嘔吐(この体質の方は妊娠悪阻も酷い可能性があります)。例;乾姜人参半夏丸(カンキョウニンジンハンゲガン)、小半夏加茯苓湯(ショウハンゲカブクリョウトウ)

◎白朮茯苓の証は脾虚や胃腸虚弱を生じます。
・胃内停水が動揺し、症状が上に出ます(升の症状)。眩暈、突発性難聴、顔面麻痺。例;苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)
・胃腸が弱ると下痢や虚弱、体力低下(降の症状)、様々な症状・病態が生まれます。例;六君子湯(リックンシトウ)、当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

胃内停水と水毒は食養生でも改善・予防が出来ます。
・蒸散作用のある葉野菜。
・利水作用のあるウリ科(キュウリ、スイカ、メロン、カボチャ、トウガン、ゴーヤ・・・)
・暑がりの人や暑い夏にはナス科(ナスビ、トマト)なども胃内停水を除きます。
・また菌糸体・キノコも温和な利水剤です。
・意外と強力なのはトウモロコシです。トウモロコシの毛は「南蛮毛(ナンバンゲ)」と言う漢方薬で利水作用が最も強い生薬の一つです。トウモロコシの実も同様な利水作用があります。